THE RUNNING 走ること 経営すること

Running is the activity of moving and managing.

ニューイングランドの大錦繍

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出張で来たニューヨークから足を伸ばしてアメリカ北東部ニューイングランド地方に行って来ました。

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紅葉を指す錦繍という言葉を知ったのは四半世紀も前に宮本輝の「錦繍」を読んだ時です。以来、錦繍と言えば蔵王のイメージだったのですが、ニューイングランドのそれは想像を超えていました。

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紅葉が錦繍と成るにつれシャッターを押していたのは始めだけ。錦絵の如くに染まった広大な空間に在ると、写真に収まらない自然の迫力に圧倒されるばかりでした。

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 修験道のような山岳信仰が発展した日本ではどんな山でも、どこか家のような感覚を覚えますが、北米の圧倒的な自然からは未だ、人を寄せ付けない野生を感じます。

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被写体によって、撮ることを忘れしてしまうことが時々あります。今回はそんな被写体との邂逅でした。

今年のハセツネ(第25回日本山岳耐久レース)はキツかった!

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ハセツネというトレイルレースに参加していたので、昨日から今朝(10月8日~9日)まで18時間強、奥多摩を歩いていました。写真はあきる野市五日市中学校にあるゴールまで数キロを残した金比羅尾根からです。

 

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アバントからは三名一組のチーム参加でした。スタート前は皆元気です。

 

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今回は日没後からほとんど霧の中の夜間走行でした。比較的気温も湿度も高くなかなかタフなコンディションだったこともあり、休憩所ではしっかり休憩を取りながら完走を目指しました。

 

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日没後からは全く眺望の得られなかった今年のハセツネですが、最後にご褒美がありました。金比羅尾根から横一線の深紅のライン。日の出前の一瞬でしたが、ほんの少し前まで霧の中にいただけに足を止めてしばし堪能していました。

今回参加するにあたり、ハセツネの由来である長谷川恒男のドキュメント映画「北壁に舞う」を見たのですがハセツネ本来の目的である「ヒマラヤを目指すためのトレーニングの一環」という他のトレイルレースにはない原点を感じるにはよい映画でした。登山同様、無事に帰還する「完走」に重きを置くレースであることがハセツネの個性かもしれません。

さて、今年3回目のハセツネ、来年もやるのかと問われれば、今のところは「んー」です。少しキツさの記憶が薄れてから考えます。

地産地覧?、日本画家の作品を日本で観て感じること

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約二ヶ月ぶりに東京国立近代美術館へ行ってきました。今年(9月26日)のアバント社株主総会をこちらの講堂をお借りして開催させていただくこともあり、現在の常設展示の予習です。

 

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まず、菱田春草の王昭君(重文)。日本画家独特の色使いとタッチに魅せられます。二ヶ月前は別の作品が飾ってありました。全体ではかなりの作品が掛け替えられているようです。常設展はいつも同じと勝手にイメージしていただけに驚きです。

 

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今回圧巻だったのは、東山魁夷の作品群です。このエリアに入った途端に空気が変わります。中でも、写真の中央にある白夜行という作品が特に気に入りました。絵画にもかかわらず、その景色が見える場所にいるかの如くです。椅子に腰掛けてしばらく眺めていました。

 

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あまりに印象的だったので、以前撮った写真でちょっと色使いをまねしてみました。一時期写真の構図のヒントを浮世絵から得ていたこともあり、これからは東山風に撮ってみたくなりました。

東京国立近代美術館には欧米の画家の作品も沢山ありますが、真骨頂は日本画家の作品だと感じました。お酒をその産地で呑むと普段以上においしく感じるように、アートにもそんなところがあるのでしょうか。今日は少々東山魁夷の作品に酔いました。

今シーズンの富士登山納め

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今年も散々お世話になった富士山に雪が着く前の勇姿を納めようと久しぶりに三脚を立てました。雲が切れるのを待つこと一時間、なんとか頂上の山小屋が見えた瞬間を納めました。夏の赤富士は力強い。

 

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その後、最年少小学五年生からなるアバントグループ富士登山隊を追っかけ頂上で全員集合。今年は天候に恵まれました。昨年の天候不良による中止に続き、今回もあわや中止の危機にあったところを、リーダーの松谷さん(中央の赤いウェア)が奮起して無事開催。ありがとうございます!

 

f:id:runavant:20170910210051j:plain今日で富士山も閉山です。また来年!

新たなテーマは登攀力の向上、ロードバイクを投入

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富士登山競走八合目関門アウトになった直後に思わずでた一言が「もうやめようかなぁ」でした。かなり身体もしぼり、なんとかコンディションも整えて参加していたこともありこれまでの練習メニューの限界を感じたからです。

そんな愚痴をこぼしながらの下山で一緒だった師匠からのアドバイスは「登攀力の強化」でした。そして、登攀力強化には自転車が効くという話になり新たにロードバイクをクロストレーニング用に準備しました。

二十代に少しランとバイクのバイアスロンをやっていたのでそれ以来のロードバイクです。久しぶりと言えないほどのラグを経て、手始めにと武蔵五日市から都民の森、奥多摩湖、青梅市を経て始点に戻るコースを走ってきました。

 

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このコースは、10月にある日本山岳耐久レース(ハセツネ)のコースとなっている登山ルートと併走するように車道を走るので、練習や本番でなじみのあるところです。今回は師匠からの指示に従って、ケイデンスというペダルの回転数を一定にすることを意識して登りました。

視覚的には傾斜の違いが分らないところでも、ケイデンスの増減で微妙な変化がわかります。その都度ギアをチェンジするのですが、心拍数とケイデンスのバランスを維持するために行う頻繁なギアチェンジにランとは違う面白さを覚えました。

それに比べると下りははじめ爽快だったのですが、ブレーキワークばかりなのでかなり退屈に感じます。むしろスピードが出る分事故らないように気を遣うので面倒です。そもそも登攀力向上が目的なので、私はヒルクライム専門が良さそうです。

 

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トンネルの多い青梅街道を車にビビりながら武蔵五日市へ戻る途中では、「下りいらない、いらない!」と独り言。トンネルの無い、都民の森往復のほうがよかったようです。トレイルに比べると平均心拍数も低めで、身体への負荷は低いようです。クロストレーニングでは水泳も時々やるのですが、同じような疲労感です。

今後、トレイルの登攀力向上に役立つかが楽しみです。

もののけの森、奥秩父

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一年のメインレースである今年の富士登山競走が終わり、久しぶりに富士山以外のトレイルに戻ってきました。奥秩父のあたりです。天候があまり良くないせいか、ほとんど人には会いません。かわりに、猿やイノシシ、ヤマドリなどが当たり前のように顔を出して来ました。

霧の中のブナの森は幻想的です。「ん?これはどこかで?あぁ、ジブリのもののけ姫で見た風景だ。」もののけ姫では白神山地や屋久島をモデルにしていたと記憶していますが、奥秩父まで来ると白神山地にも劣らぬブナの原生林が残っています。

 

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ブナの自然林は見事に太陽の光をすべての木々が分かち合うように枝葉を広げています。ほとんど空は見えません。ブナの傘のおかげで雨が降っている時もほとんど濡れませんでした。

 

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尾根に近づくと突然空が開けました。やっぱり、青空は気持ちがいい。

 

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尾根道から見た雲海です。遠くにやまなみが見えればまさに「アシタカ旅に出る」シーンの風景です。頭の中でもののけ姫「アシタカせっ記」の調べが流れていました。

 

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深いブナの森の中でも、小さな若木がしっかりと光を浴びて育っています。縄文時代から数千年と繰り返されてきた自然の営みに日本人の原点のようなものを感じます。そんな感覚を大切にしています。

空気の濃い緑豊かなトレイルで、酷使していた身体がリラックスしたのか家に着いた途端に12時間越えの爆睡でした。しばらくはリカバリーモードで身体を休めます。

 

忘れ物は何ですか? 富士登山競走2017

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今年で6回目の参加となる富士登山競走、初めて五合目より上に行くことができたのですが八合目関門でタイムアウト、山頂までは届きませんでした。

未だ山頂ゴールの目処も立っていないのになぜこれほど惹かれるのか。本当に不思議なレースです。他のレースにはない富士登山競走ならではの魅力?魔力をご紹介します。

 

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恒例の参加者全員による宮下さんによるエイ・エイ・オー。宮下さんによる気合い入れは選手の緊張感をほぐし集中力を高める絶妙かつ最高のエールです。毎年宮下さんのご家族の方々にも応援いただくのですが、昨年欠席だった娘さんから正式に引退宣言!!「私は今年で引退しますが、皆さんは10年後も20年後も頑張ってください」と大変ありがたいお言葉を頂戴し、ますますテンションがあがりました。

 

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この道の先に富士山の頂があります。今回は雲で山体を目視することは出来ませんでしたが、ひたすら上り坂を進みます。馬返しというロードから登山道へと変わるところまで平地ではかなりスピードを出さないと得られない心拍数をたたき出します。膝に負担をかけずに高負荷というあたりがなかなか魅力的です。

 

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今回は比較的ロードで時間を稼いだので五合目関門は大丈夫だろうと思っていた矢先の大渋滞!予想してはいましたが、時間制限まであと3分、関門まであと30メートルというところで全員で押し上げていくお祭り状態。現場での焦りはなかったのですが、ふり返ると本当にギリだったことがわかり痺れます。

 

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富士登山競走?富士山の山頂まで走るの?いえいえ、それは途中まで、七合目を超えると二足歩行から四足歩行へと進化?します。脚にシューズが必要なように、現代人には手にはグローブが必要です。フルマラソンのように同じことを繰り返すのではなく、レース中に進化?を求められる進化圧も魅力的。

 

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八合目エリアに入ってくると空気の薄さが直撃してきます。酸欠でふらふらしてくるのは当然。今回はこの先でタイムアウトでした。山にはガスがかかっていたので山頂は見えませんでしたが、八合目関門からのカウントダウンがしっかりと聞こえつつも、ペースは限界。4分オーバーで今回はここまで。八合目の関門についた時は、「もうやめようかなぁ」との一言が口にでましたが、下山するころには来年に向けた作戦を考え始めていました。簡単にはゴールさせてもらえないところも魅力です。

 

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富士登山競走って、登った分自分の脚で降りてこないとならないのです。リタイアでも自己責任、本当に魅力満載?です!

京都には有名な「哲学の道」がありますが、富士山の下山道は私にとっての「哲学の道」かも。

さて、来年こそは七年越しの「完走」という忘れ物を頂上まで取りに行きます。

 

現場はどんな感じか、レース中なんとか撮影したものを二分半にしたものがこちら。

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