THE RUNNING 走ること 経営すること

Running is the activity of moving and managing.

雨の野沢温泉でトレイルラン

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昨日は、マウンテントレイル in 野沢温泉のショート(14k)を走ってきた。

スタートから雨が降り始め、写真の参道を登り切った小菅神社奥社を過ぎたころには本降りになった。なんやかんやといくつかのレースをDNS(Do Not Start:つまりサボり)していたので、2か月半ぶりのトレイルは、キツかった。

レースコースは、小菅神社奥社の手前で山道に入ってしまうのだが、キツかったご褒美にと、北信濃三大修験場であり、国指定の文化財にもなっている奥社に参拝した。

ちょっとした寄り道だが、心が少し豊かになる。

雨が激しくなったこともあり、後半下りはほとんど歩きとおした。ゴール後、降りしきる雨水と一緒に食べたふるまいの豚汁がうまかった。

雨のトレイルであったが、それなりに楽しいレースになった。

若者よ、哲学せよ!

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先週、一橋大学の「企業価値経営論」という講義の担当部分を終えた。今年度よりアバントグループの寄附講義として、企業価値を高めるための経営とはなにかを理論と実務の両面から考えていくことを目的に、一橋大学経営管理研究科の中野誠教授の指導のもとスタートした。

自分が担当した講義は、初回が企業価値をつくる原点となる起業の実体験、二回目は起業後に経験してきた経営者としてのリスキリングの壁の実体験、三回目はリスキリングの中でも個人的にもっとも苦労したのがファイナンス視点の獲得(会社も商品であるという概念)だったことから、日本企業へも急速に影響力を強めているPE(プライベート・エクイティ・ファンド)と事業会社がWin-Winな関係をつくれるのかという問題提起、そして四回目は提起した問題に対する仮説整理と経営者のリスキリング問題の総括という流れで組み立てた。

初回ということもあり、ほとんど初物のコンテンツだったため、各講義に内容を詰め込みすぎて学生たちとの対話の時間をとることができず、素材だけ提供して肝心の料理を一緒につくることができなかったなど、多くの反省点があったが、学生からのフィードバックを読み、教材をつくることを通して企業価値経営というものと向き合うよい機会となった。

企業価値経営論というテーマであったが、振り返ってみると、ファイナンスという技術を活かすためにも、自分と向き合い、文化的道徳も学び、それぞれの経営哲学を磨いてほしい。それを伝えたかったようだ。最後の授業の最後のスライドにその総括を用意していたのだが、時間切れで肝心のメッセージは伝え忘れた。💦

いろんな技術(核・インターネット・AI・ファイナンスもその一つ)が発展して、それが社会に与えるインパクトを放置できない時代である。結局のところ、それを使う人がどんな哲学をもって使うかによって、未来の社会のカタチが決まる。その未来をつくる学生たちを前にして、いくつもの世界線があることを感じた。

若者よ、哲学せよ!である。

夏越

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今日は夏越の大祓、今年も折り返しだ。こういった節目を気づかせてもらえる昔からの風習は、心を新たにしてくれる。

社会には様々な節目がある。暦という共通の節目もあれば、個人ごとの節目もある。厄年や論語の不惑、知命、耳順、さらには学業や仕事環境の変化、家族関係の変化もあるだろう。経営においても、月次、四半期、年次と、考えてみれば節目だらけだ。

そんな節目を感じながら日々を過ごせることは、幸せなことだとしみじみ感じる。

さて、明日から当社の新事業年度が始まる。心身を整えて新たな年度をスタートしたい。

ヘルスリテラシー向上ノススメ

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先日、がん治療の第一人者である東大病院の中川恵一先生のお話を聞く機会があった。経営者向けのもので、そこで初めて「ヘルスリテラシー」という言葉を知った。健康に関する正しい知識を持ち、それを使いこなす力である。

普段、経営者のリスキリングにおいて「ファイナンシャルリテラシー」の重要性を強調し、その獲得に力を入れてきたが、ヘルスリテラシーについてはまったく無知であったことに気付かされた。

中川先生によれば、がんは約20年かけて1センチ程度の大きさになる。その後1~2年程度で倍の大きさになるまでに発見できれば早期であり、高確率で治癒が見込める。だからこそ、1年以内の定期的な検診は欠かせない。

経営的視点から考えると、70歳まで雇用が伸びると、統計的には約2割の社員ががんを発見されることになる。したがって、その前提で働き方を支える仕組みが必要となる。

また、早期発見であれば切除よりも放射線治療のほうが身体へのダメージが小さい場合もあり、その治療を提供できる病院でセカンドオピニオンを得ることも重要だという話も新鮮だった。

リテラシーの育成は学校教育から始まる。日本では健康関連は保健体育の授業で教えられるが、米国では科学の一環として教えられる。つまり、サイエンスの先生が教えるものだということだ。

中川先生の尽力により、ようやく日本でもがん教育が始まったとのことだが、学生時代から正しい知識をもつことで、がんとの向き合い方はまったく異なるだろう。

F(ファイナンス)の前にH(ヘルス)のリテラシーこそ、より重要なリスキリングであることに気づかされたとても印象的な話だった。

 

PS:中川先生のお話は以下のリンクからもご覧いただけます。

www.gankenshin50.mhlw.go.jp

 

社会構造の違いを理解して経営力を磨くということ

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経済産業省の「製造業を巡る現状と課題、今後の方向性」を読んだ。企業経営に役立つ情報サービスを提供する本業にかかわる話も多く、読みごたえがあった。

https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/seizo_sangyo/pdf/016_04_00.pdf

経営力への指摘は製造業に限った課題ではない。限られた事業資産を成長分野に最適配置することの難しさは自分にも当てはまる課題だ。

経営力というと非常に広い概念になるが、2023年3月の東証要請以来、注目度が上がっているPBR(Price Book-value Ratio、 時価総額を純資産で割ったもの)が問題になる企業においては、企業価値を高めるために、「どこにはるか(立地)、だれにはるか(人事)、いくらはるか(投資)」の最適化を続けられるかどうかが問われる。

事業会社の経営は、自ら稼ぐ点と、エグジットという名の店じまいがない点では投資家と異なるが、経営資源のアセット・マネジメントという視点では、同様のファイナンス思考が必要とされる。

しかし、日米を比較すると、社会構造的に投資家視点を養う教育環境や、自国の資本によるプライベートエクイティやベンチャーキャピタルの影響力という基礎的な点で大きな差があると感じている。この違いを理解して経営力を磨かないと、リスクが高まる。

社会構造は歴史の蓄積の上にある。今回の写真は以前立ち寄ったプリンストン大学のものだが、立ち並ぶ歴史的建造物は見えない知財の蓄積も物語っている。教育問題の解決は簡単ではない。

しかし、すでに日本の製造業の多くはグローバル展開をしている。製造業トップ500社では、従業員の6割が海外拠点だそうだ。つまり、企業が日本の社会構造問題から脱却する素地はすでに整っている。

社会的な環境整備には時間がかかるが、企業経営力の向上は待ったなしだ。したがって、自らが変わるしかない。ヒントになるのは、すでにファイナンス思考的経営を実践している企業のマネジメントチームのあり方なのかもしれない。

人が走っているのを見るのも案外悪くない

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セントラルパークを朝ラン中に、New York Mini 10k Women's Raceに出くわした。

約一万人の参加者がウェーブスタート(一定の集団毎に時間差でスタートする方法)でひっきりなしに出走していたが、いくつかのウェーブがスタートした後も、参加者が歩道を歩いていたりと、かなりのんびりしたシティマラソンである。

いろんな領域でジェンダーレスが進んでいるが、これはこれでありなんじゃないかなぁ、と素朴に思った。

トレイルランやマラソンのトレーニングで、「修行だ」などと言い聞かせて走っている自分が、なにやら滑稽に見えてくる。

個人的にはそれも楽しいのではあるが、日々のコンディションに悪影響を与えることも少なくない。

自分のランを振り返るにためにも、人が走っているのを見るのも、案外悪くない。

AI時代であっても「百聞は一見に如かず」

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出資先である米国ニュージャージーのベンチャーキャピタルの集まりに参加している。AIに関連するビジネスの未来に対して強気な発言が多い一方で、その基礎をなすデータの信頼性について議論が集中した場面があった。

私たちが普段から触れている情報も、何が真実であるか判断することが難しい。むしろ、意図を持った情報操作はいつの世でも行われている。大量にデータが生み出されている現在、その担い手としてAIの存在感が大きくなっている。

トランプ前大統領の有罪判決の翌日、ハドソン川の上を「トランプ大統領は何も間違っていない」という横断幕を引いた飛行機が飛んでいた。遠くてわかりにくいが、写真はその時のもの。

スーパーで売っているプライベートブランドの約1リッターのオレンジジュースが7.59ドル。日本円に換算すると約1200円、これはリアルである。

どのような選択をするかは個人の価値観次第である。そのための判断力は、五感で違和感や納得感を感じられるリアルな体験を通してしか高められない。そんな気がする。「百聞は一見に如かず」である。