技術の軽視は、時に壊滅的な事態を招きます。
もちろん、競争環境においてですから、一般的な生活を直接的に破壊することはありません。しかし、企業にとっては死活問題の一つです。
このテーマについては、2001年にNHKで放映された「その時歴史が動いた:戦艦大和沈没 大艦巨砲主義の悲劇」が印象的です。その最後に松平定知さんのナレーションで読み上げられる「吉田満著、戦艦大和の最後」の一節は、当時ビデオに撮って繰り返し見ていました。とても強く心にのこっているので、そのまま引用します。
「進歩の無いものは決して勝たない
負けて目覚めることが最上の道だ
日本は進歩ということを軽んじすぎた
私的な潔癖や徳義にこだわって
真の進歩を忘れていた
敗れて目覚める
それ以外にどうして日本が救われるのか
今目覚めずしていつ救われるのか
俺たちはその先導になるのだ
日本の新生にさきがけて散る
まさに本望じゃないか」
今、改めて見てみても、色あせるどころか一層真摯に受け止めるべき先達からのメッセージです。
欧米列強の帝国主義への恐怖から富国強兵へと国をひらき、日露戦争で辛勝するまでになったにもかかわらず、真の進歩を忘れ壊滅的な敗戦を迎える。そして、その敗戦から学んだ真の進歩の大切さを活かし、技術立国と自称するまでにいたり、そして現在また世界の進歩から取り残されている。そんな危機感を持ち続けています。
しかし、今を生きる当事者にとって、進歩から取り残されていることに気づくのはなかなか難しい。頭ではわかっているようでも、大きな実害が無い限り当事者意識をもって行動することは難しい。だからこそ、世界中のリアリティを直接肌で感じたことを忘れずに行動すること。
海外に行くと必ず強く感じることです。
進歩とは技術のみの話ではありませんが、進歩において技術が与える影響は軽視できません。経営における財務会計の役割も技術による進歩を軽視すると会社の競争力を著しく損なうことになる時代がすでに来ているのは間違いありません。
さて、真の進歩をめざし、どうやって技術を活かすか。そうやって考え始めるとまったく新たな姿が見えてきます。この領域もこれからますます面白くなりそうです。
PS:やたら空を撮りたくなる街、Londonです。