◇ DivaSystemのアップデート版
先日、ディーバ社の主力製品である連結会計システムDivaSystemアップデート版のお披露目が社内でありました。会場は満席、立ち見での参加でした。
アップデート版ではありますが、1997年の初期バージョン以来開発スコープに上がっては先送りされていた機能のいくつかが実装されていました。処理速度と原則論を最優先とするコンセプトでデザインされたシステムゆえのこだわりから劣後していた機能です。
モノを見ていて直感的にイメージしたのは、かつてポルシェが車の走行性能上不要としてかたくなに実装してこなかった電動格納ミラーやハンドルのチルト機構を実装したときのことです。
たしかに走行性能に影響はありませんが、車を使うさまざまなシチュエーションでは役に立つ機能です。その後のポルシェの好調ぶりは周知の通り。
今回の開発にかかわったメンバーに話しを聞いたところ、サービス側のメンバーがリードしてお客様と一体になって開発した結果とのことでした。
◇ 肌感覚、現場感覚を養うこと
もちろん、当初よりよりお客様と開発に距離があったわけではありません。むしろ、今以上に一体となった開発を行っていました。現場ニーズ、つまりお客様のニーズを直接的に理解した上で、お客様のニーズとそれを実現するための制約条件のバランスをとった結果の取捨選択です。
ところが、お客様の数が増え、組織も以前と比べて大きくなるとどうしても現場のニーズを個別に取り上げて当事者意識をもって取捨選択することが難しくなります。情報量が格段に増え、直接そのニーズを感じることができなくなるとリアリティを失い、取捨選択のセンスが鈍ります。
経験則的には、取捨選択を行う際に外部の調査会社のフレームワークなどを使い始めたときはかなり危険です。もちろん、フレームワークを理解し活用することは大切ですが、答えは自らの現場感覚をもって独自に見いだす方があきらかによいものができます。
ビジョンは現実離れしていてもよいのですが、その実現は徹底的なリアリティ、現場感覚を伴うものでなければ役に立ちません。
◇ つなぐ義務を果たすとは
冒頭のDS開発にかかわったサービスと開発両方のメンバーの話から、いずれも当事者意識のようなものを強く感じることができました。そして、お客様と一体となった開発工程から強い「愉しさ」を体感しているようでした。
このような体感を大切にすることは、普段の仕事に対する姿勢から自然と文化として定着していってほしいものです。
しかし、こういった体感は「計算しないで仕事に臨む」姿勢が必要であり、業績の向上を追求する営利組織では実際には素直に受け継がれていくことが難しいことでもあります。
そのような中、今回のように現場感覚を大切にして、なによりも仕事のプロセスを愉しめたという話が現場から聞けたことは組織の成長を感じるとてもうれしい話でした。
結局のところ、「神は細部に宿る」という言葉のごとく、日々の小さなことの積み重ねの中に大切にしたいことをしっかり織り込んでいくことが最善の道なのでしょう。次世代につなぐ義務を果たすとは、そういうことなのかもしれません。
PS:写真は南アルプス甲斐駒方面。経ヶ岳バーティカルリミット参加の帰路にて。