第69回富士登山競走
2016年7月22日、富士登山競走に参加して参りました。今年で5回目、最初の2回は富士吉田市役所から五合目までの五合目コース、今回は3回目となる富士吉田市役所から山頂までの山頂コースです。
天候は雨、山頂付近の気温は5度。山頂コースは下山における低体温症のリスクなどを鑑み2009年の62回大会以来の五合目打ち切りとなりましたが、大会関係者や応援の方々の熱い声援のもと、午前7時にスタートしました。
開会式では、恒例の「エイ!エイ!オー!」という気合い入れがあります。ことしも富士五湖消防本部の宮下さんによるものでした。「健康志向でランニングがブームとなる中、時代に逆行するような過酷なレースに参加される皆さん!」(意訳)というような参加者が思わず笑い出してしまう楽しくも盛り上がるエールで今年も鬨の声があがりました。
私はスタート前の宮下さんのエールが大好きです。(「今日はいいや」のお姉ちゃん、来年はぜひ!)
五合目関門、2時間14分でクリア
3年前に3年間有効の山頂コース参加権利を獲得して以来、2回連続で五合目制限時間を大幅に上回りタイムアウトとなり、今年が最後の挑戦機会となった山頂コースでした。
山頂ゴールを目指して始めたこの登山競走参加ですが、過去の結果から相当難易度が高いことを思い知り、山頂はおろか、五合目関門クリアさえ難しい現実を受け入れ、今年は、結果ではなく、その準備においてできるだけ言い訳の余地を残さないことだけを心がけることにしました。
結果は自己ベストを12分以上更新して2時間14分。
今年の五合目関門制限時間である2時間20分のみならず、来年からの制限時間2時間15分を切ることができました。
五合目打ち切りのためその先には進めませんでしたが、脚も十分に残っていました。後から心拍数の記録を見ると、乳酸閾値の範囲内で効率的に動けてたことがわかります。
困った、まだいけるかもしれない
今回の目標タイムは現在の走力と準備状況から2時間20分としていました。一方、無理をしない範囲でやれるだけの準備をしてその結果として五合目関門の制限時間(2時間20分)をクリアできて、仮に頂上挑戦権(2時間25分以内)が得られても五合目制限時間が厳しく(2時間15分)なる来年からは五合目コース参加にシフトしようと考えていました。
というのも、村上春樹の「走ることについて語ることに僕の語ること」の中で、記録としてのピークは50歳頃だったという一節が印象深く残っていて、制限時間がかなり厳しい登山競走のようなレースにこれ以上チャレンジしても山頂ゴールは不可能だろうと感じていたからです。
想定していた達成感は、「ああ、やりきった。これで後悔はないぞ!来年からは五合目で頑張ろう!」というものだったのですが、暑さに弱い私にとっては恵みの雨となった天候も幸いし、余力を十分に残しての来年制限時間2時間15分を切ったことで、うれしさもさることながら素直な感想は「困った、まだいけるかもしれない・・」
チャレンジできるうれしさもさることながら、そこに向けた準備の厳しさもあり「やれやれ」というなんとも苦笑い的な喜びを味わっています。
伸びしろはあるのか
来年も挑戦するのであれば、タイムもさることながら頂上を目指せる伸びしろがあるのかということが最大の関心どころです。それが、全くないと言い切れないのです。
① 高強度を減らし、中低強度を増やしても走力は下がらなかった
登山競走の練習方法はとにかく、負荷をかけるものとこれまで考えてきました。トレッドミルであれば12度~15度の傾斜で8キロ~10キロのスピードで7.5分インターバルを5本毎週1~2回やるような高負荷(注)トレーニングです。ところが、この手のトレーニングは意外に疲労が蓄積しやすくオーバートレーニングになりがちでした。
そこで今回は、安静時心拍数を計り、リカバリー能力を見極め決してオーバートレーニングとならないように心がけました。安静時心拍数が高めのときは軽度のトレーニングのみにし、低く安定し始めると高負荷のトレーニングを入れるというようにしました。
私の場合、その閾値となる心拍数は50です。48前後になればほぼ完全リカバリーができていますが、運動だけではなく、仕事でも疲労がたまっていると55程度になってしまいます。肉体疲労だけでなく、精神疲労も含め総合的な状況が現れるので脚の筋肉疲労がなくとも、心拍数が高めであれば無理をしないようにしました。
その結果、平日はまったく高負荷をかけることができないことになりました。走っても、強度は低から中以下です。週末も毎週はかけられません。二週間~三週間に一度程度、20キロ程度のトレイルレースに参加してかける負荷がぎりぎりというところです。あとは週末にしても中負荷程度ですましていました。
結果、高負荷と中低負荷の比率がおおよそ3:7から1:9と大きく高負荷が減ったのですが走力についてむしろ、若干高まりました。量ではなくでバランスのようです。とはいえ、まだ模索段階でありそれが改善余地に見えるのです。
注:ここでは、%HRR:心拍数ー予備心拍数(安静時心拍数)/最大心拍数ー予備心拍数で80%以上を高負荷、70~80を中負荷、60~70を低負荷としています。
② 体重の削減余地がある
二つ目は体重問題です。登山競走はひたすら登りのレースです。よって、通常のマラソンやトレイル以上に重量インパクトがあります。走力の基礎となる心肺機能の改善が難しい年代にとっては、体重に削減余地があるかどうかが伸びしろの最大要素です。
実際に前回68回大会出場時は71キロでした。走ってはいたのですが、筋肉をつける方を重視し、体重はあまり意識していませんでした。昨年の五合目タイムは2時間52分です。そこから二ヶ月で約1割落としましたが、それは食事の改善だけで比較的苦労せずできました。
そして、今大会に向けた仕上げとして最後に60キロ代に持って行く計画でしたが、これには苦労しました。結果、若干リバウンドしていた分を戻したところで固定、ぎりぎり絞り込んで63キロでした。
年齢的なものでしょう。どうしても胴回りが残るのです。体脂肪は決して低くありません。酒をやめることで急減することを期待していた内臓脂肪も同様です。いずれもなかなか減少せず、最後の最後に脚に負荷をかけず食事もこれ以上減らさずにできる脂肪燃焼手段はないかと、まったく不慣れな水泳に手を出しました。
すると、これが意外に有効でした。先週の連休をつかって1時間~1時間半程度通しで泳ぎ続けた後の体脂肪は確実に減少していました。といってもわずか2回の結果です。食事はかなり限界まで調整していたので、体脂肪燃焼に有効なクロストレーニングを取り入れることで健全な脂肪削減の可能性を感じています。健康を損なわないようにあと3キロの削減すること。ここが二つ目の伸びしろです。
③ まだ未使用の技術がある
三つ目は登山競走向けの技術です。登山競走はロードと登山道、さらに岩場を含む高度登山道の三種混合レースです。それぞれに適した走行技術があるようです。
ロードから登山道に切り替わる馬返しで起きがちな脹ら脛の痙攣を回避しようとその手段を探っていたのですが、その一つが登りで両手を前腿について上半身をささえながら登るという方法です。
登山でも有効ということは知っていたのですが、通常の登山でもストックを使うのが嫌いで、山は脚だけで登ることをよしとしてきたのでその効果を体感したことがありませんでした。
しかし今回はなんでもやってみようと、練習でも使ったことがない方法を試してみました。しかも急斜面でなくとも走れないところはすべて両手をつかうことにしました。やってみるとこれが想定以上に効きます。姿勢も安定し、無駄な筋力を浪費することなく効果的に登り続けることができました。
その他にも、周囲のランナーを見ていると斜度に応じてスピードをコントロールしながら絶妙なピッチ走法で走る方々を見て関心していました。基礎走力不足を補う技術はまだほかにもあるかもしれません。
この技術獲得が第三の伸びしろです。
来年もチャレンジします
ということで、来年も山頂コースにチャレンジします。(^_^;)
アバントグループからの今年の山頂コース参加メンバーは私を含めて四人でした。五合目コースも山頂コース以上のメンバーが参加しました。来年も山頂コース、五合目コース参加メンバーと一緒にそれぞれのチャレンジを楽しもうと思います。
余談ですが、山頂コース参加メンバーの笠嶋さん。なんとシューズを忘れ普段履きで参加していました。ある意味恐ろしいポテンシャルです。来年が楽しみです。
ありがとうございました
最後に、富士登山競争を主催されている富士吉田市の関係者の方々を始め、救急やエイドステーションなどボランティアの方々に心より感謝申し上げます。また、アバントグループのサポートメンバーにも心から感謝です。ロード途中の中の茶屋でアバントの旗を見つけたときは感激でした。本件に関心をもっていただいたみなさま、本当にありがとうございました。