今年も師走。冬の便りも届き始めました。(写真は鳳凰三山)
今回はステークホルダーとの対話の意義についてです。
経営者にとって、”経営情報”は意志決定のためだけでは無く、様々なステークホルダー(利害関係者)とのコミュニケーションツール(言語)として使えないと無意味です。経営とは組織を通して成果をつくる活動であり、その成果は様々なステークホルダーと共有されるものだからです。
ゆえに、アカウンタビリティ(説明責任)は、一方的な説明ではなく、双方向の対話を前提としています。
”経営情報”をステークホルダーと会話するための「言語」と捉えると、会計情報はその語彙の一部です。株価やファイナンスに関する情報も同様です。会話するステークホルダーの幅を広げるほど語彙の幅が広がります。しかし、明治に西洋文化を取り込む中で生まれた沢山の新語が本当の日本語になるまでには相応の時間がかかったように、言葉の裏にある意味や意義を自分たちのものとするのは簡単ではありません。
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ステークホルダーの一角である機関投資家との対話では、実際に使うかは別としても、ROEやROICと言った資本生産性に関する単語は重要です。いずれも十分に大衆化した単語ですが、振り返って自分にとって生きた言葉であるかと言えば怪しいものです。
機関投資家が資本生産性の視点から投資判断をしている事は理解していても、資本生産性指標を日常使い、つまりステークホルダー全体に対して意義のある事とするまでには至っていません。使い方を間違えると特定の利害に偏った経営を招きかねません。
そんな、暗記しただけの外国語のような言葉を生きたものとするには、ネイティブスピーカーとの対話を通して言葉のコンテキストを理解し、自分自身も日常で使っていく事が欠かせません。語学と一緒ですね。
ステークホルダーとの対話力を磨き続けることも経営者の重要な仕事である。会社内部から海外IRへと経験の幅を広げるにつれ、対話の意義と価値をそのように実感するようになりました。
さて、当ブログは今回で5年目に入ります。5年は続けるという事で始めたブログ、最終ラウンドもよろしくお願いします。