THE RUNNING 走ること 経営すること

Running is the activity of moving and managing.

ダイバーシティについて、走りながら考えた

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上越妙高トレイルのショート(14k,500d)を走りながら、ふと大学の恩師を思い出した。

ゼミの佐藤光威先生である。読書に際しては常に批判的に読むよう指導された。読書に限った話ではない。ようは、自分の考えをしっかり磨けということである。

そもそも、自分の考え方やものの見方が出来ていないと他人の考えを批判することさえできない。あぁ、それもいいね、あれも、いいね。といった具合に他人の意見に流される。

自分の考えとは、生き方のOSのようなものだが、生きるという行動を充実したものとするうえで自分の考えをしっかりと磨くに越したことはないだろう。

一方で、自分の考えを持つと、他人の意見に批判的になる。批判で済めばまだよい。気に入らないということで、相手に嫌悪を抱いたり、場合によっては攻撃的にもなる。

人の感情は、メンドウである。

ところで、ダイバーシティとはいったいなんだろう。日本の企業経営においては女性管理職比率の向上などが筆頭に上がるように思うが、世界の常識と比べると圧倒的に劣後している

なぜだろう。そもそも、自分を含めて、経営者の多くがダイバーシティの意味を理解できていないのかもしれない。

ダイバーシティとは、異なるものとの共生の範囲を広げることだ。その起点にあるのは、違いを認識して受容することである。考えが違うから一緒に仕事できない、のではなく、違いを理解して一緒に仕事をする。という経営を行うことである。

相手を理解するためには、まず自分の考えをしっかり磨く必要がある。その上で、相手との違いを丁寧に理解し、それを受容するのである。その結果、多様な生き方が共存できるようになり、ひいては社会の持続性が向上する。つまり、ダイバーシティとは社会を持続させるための手段なのである。

営利を目的とする企業経営は、どうしても成果創出へ最適化されやすい。しかし、最適化された組織は変化には脆弱だ。企業経営も長期にわたる発展を目指すのであれば、ダイバーシティが欠かせないということになる。

ダイバーシティの本質は違いを受け入れること。社会も会社も個人も、最大の難関は、この「受容」だろう。

人の考えを批判的に捉えよ。という佐藤光威先生の教えは、ただ批判するのではなく、違いを理解して、受容せよと続いていたのだろう。と、この歳にしてようやくわかったような気がする。