今年の軽井沢の紅葉は遅い。当たり前のように四季が繰り返されていると思い込んでいるが、昨年の写真と比べると10日程度遅れている。
普段と変わらぬ朝ランをしていた今年の夏、軽い脱水症状になったのも、酷暑の影響だろう。
今年は暑かったねぇと、繰り返される変化の中での印象と異なり、明らかに変だ。と温暖化の影響をひしひしと感じている。
なんとなく、経済規模の成長とリンクしているようにも感じる。
生物は、環境変化への適応を繰り返してきた。環境は変化するものである、ゆえに、適応して子孫を残すことこそが私たちのDNAに深く刻み込まれた本能なのだろう。
環境変化を乗り越えるには多様性が欠かせない。特定の種だけが隆盛を極め続けることは難しい。しかし、資本主義という私有財産を保証し利益追求を善とする価値観に基づく人間行動は、経済システムの多様性を排除し、パンデミックのごとく世界を席巻した。
その結果が、爆発的な人口増加と経済成長、そして温暖化である。
先日、KKRの創業者、ヘンリー・クラビス氏の話を聞く機会があった。新たな世代への貢献に対する志に感銘を受ける一方で、日本を魅力的な投資対象と見ているという話は、正直なところ、不可逆的なグローバル投資マネー流入インパクトへの危機感しかなかった。
日本のコーポレートガバナンス改革もさることながら、パンデミック以降の中国やEUといった大きな単一市場の変調が大きい。その結果、しばらく見向きもされなかった日本にグローバル投資マネーが流れ込んできている。
日本もインフレ局面に入りつつあるが、海外投資家が好む不動産や株式のインフレ率とは比べ物にならない。価値の基礎となる主要な指標であるファンダメンタルに大きな変化が無くても、2~3倍になっているケースもある。
こんな時ほど、経営者が自社の企業価値、つまり適正価格を理解し、長期的な企業価値向上イメージを持っておかねば、市場の動向に振り回されかねない。長期的な企業価値の向上を担うのは経営者である。その第一歩は自社の値決めをすることである。
温暖化を肌で感じつつ、グローバル投資家の話を聞き、環境問題や人権問題など、かって経済学者の宇沢弘文氏が外部不経済として取り上げた様々なコストを持続的な企業価値向上の視点から積極的に引き受け、長期的な企業価値向上を担う経営力をいかに獲得するか、行動するのみである。