昨日、吾妻山登山競走(2.17km,364d)を走ってきた。今年の走り納めである。10月の上越妙高トレラン以降は、ロードが中心になっていた。年内もう一本と探していたところ吾妻山登山競走を発見。初参加した。
場所は桐生市、こちらも初訪問である。
スタート前には、「エイエイオー」があった。烏帽子山登山競走も同様、富士登山競走で恒例となっている鬨の声が広がっているようだ。思わず笑みがこぼれる。
レース自体は、30分もかからずゴールだが、街や景色に色気があり、映画やアニメの舞台になりそうな雰囲気があった。
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地方都市を舞台にした映画といえば、香川県観音寺を舞台にした大林宣彦監督の「青春デンデケデケデケ」が真っ先に思い浮かぶ。高校生のバンド活動を中心にした物語だが、見ると元気になる。初めてビデオ化されたころ(1990年代前半?)は何度も繰り返し見た。
地方都市と映像作品のコラボレーション効果は大きい。いわゆる聖地巡礼である。地元の古河の近くにある埼玉県久喜市の鷲宮神社が「らき☆すた」で突然大人気になったことを知ったときは驚いた。
ピーターリック(Peter Lik)という著名なオーストラリアの写真家がいる。世界中の最高の景色を切り取り、高品質の作品(ファインアート)に仕上げ、絵画のようにして販売し、長年にわたり人気を博している。その最新の作品「Japan's Sea of Lilies」は埼玉県の静寂の奥深くにある、火の海のようなヒガンバナの景色だと銘打っている。
ファインアートゆえに、撮影場所を明記しているわけではないが、こんな作品を見せられたら、一度見に行きたいと考える海外の人も増えるだろう。観光資産は富士山や京都ばかりではない、ということだ。
街や自然はこれまでも、そこにあった。そこに、ストーリーなどにより意味付けされたとたんに文化遺産に変わる。無形資産は、意味付けによってつくられるのである。
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今年も、企業経営においてPBR(株価を純資産で除したもの)が注目されたが、この指標は企業全体に一様に適応するものではない。ビジネスモデルによって適正水準がまったく異なるからだ。
しかし、意味付けにより、これまで存在していた資産価値が上がるという事実を見ると、あらゆるビジネスにおいてまだまだ伸びしろが存在している。なにしろ、アートの世界はそもそも現物としての価値などわずかなものである。
意味付けをすること、それが価値創造の第一歩である。
そんなことを考えながら、ゴールだった山頂からゆっくり降りてきた。今年の走り納めには丁度良いレースだった。