
このところ、ダイバーシティを考えさせられる機会が続いた。
中でも、女性経営者の方々から、男視点でよかれと思って女性に対して勝手に配慮していることの多くはいらぬ忖度が多いと伺った。例えば、週末の研修はお子さんがいる女性は難しいだろうから対象外にしておこうとか、そんなことが随所にあるらしい。
当事者としてはそんな自覚はまったくないのだが、当社の経営専門職にほとんど女性がいないという事実を見ると、自分もその一人なのだろう。まさにアンコンシャス・バイアスである。自分では認知できない。
ヒトはだれしも自分のメガネで世界を見ている。その度数が強いほど、世の中を自分流に書き換える。認知バイアスというやつである。私は、認知バイアスが強いこと自体は悪いことではないと考えている。厳しい現実社会を生き抜くために、自分が信じるなにかを持つことは大切だ。それが、森羅万象に意味づけを行い、日々の生活を豊かなものとする。この「信じるなにか」が認知バイアスを強化する。
問題は、社会への影響力をもったり、組織で人事権を持つような、ほかの人に影響力を持つ人が自分がメガネをかけていることを忘れ行動したり、自分のメガネをほかの人にもかけさせようとすることである。
一人ひとりが違うということを前提に、それを認め、受け入れ、それぞれがもっとも生き生きと生きる環境を整えることがダイバーシティの目的だと理解しているし、そうあるべきとも考えている。
では、どうやって自分のバイアスを生かしながらダイバーシティの目的を実現すればよいのだろう?ということでたどり着いたのが、相互アカウンタビリティの徹底(Spreading Accountability)というやつだ。
会社の経営会議であれば、トップダウンの説明だけではなく、ボトムアップやクロスの関係であっても、それぞれの考えていることを説明し、聞く側もそれを理解するために自分のメガネで見えている相手の姿を率直にぶつけあう。そうすることで、お互いにどんなメガネをかけているかを理解し、一つの事実に対しても、人の受け止め方が違うことを知る。
当社では、各社取締役会やグループ経営会議という場を事業の実務的課題解決の場であると同時に、参加メンバーの相互バイアス理解の場として運営しているので、そのために時間が長くとることも少なくない。
一見、かなり非効率な方法に見えるが、メガネをそろえるよりも、異なるメガネをもつ人たちの協力関係のほうが圧倒的に楽しい仕事ができる。これが社会や組織の無形資産の増加につながる。
こいつなにを言ってるんだ?そう感じた時こそ、チャンスである。相手を論破する前に、相手の頭の中への興味を喚起しよう。そして、勇気をもって自分の受け止め方を建設的に伝えてみる。心理的安全性を確保すれば、対話が有意義な時間となる。
アカウンタビリティとは、なにかを一方的に開示することではなく、相互理解のための行動である。そして、他者への好奇心こそが、その原動力である。
MAKE TOMORROW!