平地では新緑がたくましく芽吹いている。1000メートルほど登ると、ひと月ほど季節が逆戻りする。タイムマシンのようだ。
毎年繰り返される四季であるが、草木が同じ場所で、その持っている本性を黙々と発露する姿は感動である。
人間のような生き物は、いたずらに動き回り、自分が何者かもわからなくなり思い悩む。自然の営みからふと我に返ることも多い。
ありのままの姿がそのまま表れているという意味の禅語に「明歴々露堂々」というものがある。昔から好きな言葉の一つだが、若いころは今一つピンとこなかった。
四半世紀を経て、なんとなくわかったような気がしてきた。昔から伝わる言葉は奥が深くて面白い。