THE RUNNING 走ること 経営すること

Running is the activity of moving and managing.

ん?と感じたら「対話」しよう!

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「ん~、なんか行き詰まっている」

私の場合、これまでのやり方が通用しなくなった時、言い換えると、変化への対応がうまく出来なくなったときにこの行き詰まりを感じます。しかも、面倒なことに、放置して解決することはほぼありません。

個人的にもっとも効果的に感じている解決策は「対話」です。

ここでいう「対話」とは言語による創造的な活動のことです。何かの答えを求める相談ではありません。自ら仮説や行動を生み出すための活動です。

ざっくり、対話にはいくつかの種類があります。

まず第一に、自分のことをよく知っている人との対話。家族や友人、先生などこれまでの自分をある程度理解している人たちとの対話です。

第二が、自分との対話です。「内観」という言い方もあります。自分をもう一人の自分と見立てて対話するものです。自分の内面を言語化することが重要です。

第三は、自分を知らない人との対話です。ここには、お互いに少しは知っている場合や、自分は相手を知っている場合、双方ともに知らない場合などかなりバリエーションが広がります。

創造的な対話は、この三つが深く行われている時にスパークすることが多いようです。

まず身近な人との対話を欠かさず、その上で自分を深く見つめ続ける。その基礎をもって多様な外部の刺激を求める。これらにより、自分の変調に気づき、その真因を理解し、新たな何かを見いだすことが出来ます。

と、少々堅苦しく書きましたが、結局の所、「創造的対話は愉しい!」これにつきるかもしれません。ん?と感じたら対話、ですね。

「初志」起業家のパッションの源

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「なんでこの会社を創ったのか?」案外シンプルに答えるのが難しい問いです。私自身、創業時から自分に問い続けています。

事業環境はめまぐるしく変化します。その変化に適応していくうちに創業の志がぼやけることがあります。そのまま放置すると、次第に経営戦略もよくわからなくなります。だからこそ、毎日のように問い続ける必要があります。

経営を続けていると、なんらかの究極の選択を迫られる機会は一度や二度ではありません。しかし、初志まで捨てる選択が必要な場合はきっぱりと経営をもっと適切な人に引き継ぐべきでしょう。(まったく悪いことではありません)

初志は起業家(ファウンダーという意味で狭義の企業家)のパッションの源だからです。

起業家が初志と向かい合い続けることは、自分に恥ずかしくない経営者としての行動を磨くための基本ですね。5月26日は26回目の当社の創業記念日、いつも以上に初志と向き合います。

起業におけるキャッシュという現実と本質

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母の日ですね。バラが見頃です。

ベンチャーを起業したとき、とても役に立った本がありました。板倉雄一郎さんの「社長失格」です。小説としてもかなりスリリングで面白いのですが、ベンチャー経営のリアルが圧倒的な迫力で描かれています。

どれほどアイデアがや商品が素晴らしくても、キャッシュが回らなくなると倒産するのは当然ですね。しかし、その現実を知ることはなかなか難しいです。時代も年齢もあまり変わらない板倉さんの体験談は、とても貴重なものでした。

要は「キャッシュ」という事です。夢やビジョンだけでは事業を継続することはできません。しかし、そのキャッシュの調達先によって、経営のリスクや自由度は大きく変わります。

一番安全なのは、お客様からの対価としてキャッシュを調達することです。しかし、事業の成長スピードや変化への対応に必要なキャッシュのギャップがあれば、前借が必要になります。すでに銀行から借りられるだけの信用がある場合は、そこから調達して返済します。返済実績は信用という無形資産となり、さらなる借入を可能にします。

事業成長を加速したいときは、ベンチャーキャピタルなどから資本金として資金を調達する方法もあります。資本なので返済不要などと考えてはいけません。銀行借入よりも圧倒的に高いリターンを前提とした、経営者としては借金のようなものです。しかも経営権を差し入れているようなものなので経営の自由度は相応に制限されます。

「社長失格」の時代からは日本の資金調達環境もかなり変化しました。力のあるVCであれば強力なインキュベータや経営のパートナーになります。さらに、現在の日本国はスタートアップを積極的に育てていこうとしています。

そういう環境だからこそ、起業を志す、もしくはすでに経営している方々には「キャッシュ」の本質としっかり向き合うことが重要だと思います。実際に私自身、VCから資金を調達してからかなり後になって「最初に言ってよぉ」という思いをしました。

そんな経験から、私は企業価値を「将来キャッシュフローの総和として返済可能な借金」と定義するようになりました。これも一つの考え方です。それぞれが自分の経営哲学を磨き、とれるリスク、とるべきリスクを判断することが肝要ですね。

アントレプレナーのバイブル

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企業家精神、アントレプレナー・シップについての原典と言えば、ドラッカーの「イノベーションと企業家精神」、これまで時代時代で何冊も買い直した本の一つです。

私は気に入った本に思考やアイデアを書き込みをする事が多いのですが、とりわけ書き込みが多い一冊です。若い頃の人格形成に強い影響を受けました。

冒頭の企業家の定義にこうあります。

「企業家精神とは気質ではなく行動である」

行動こそ企業家たらしめる最重要要素であるということです。そして、こう続きます。

「しかもその基礎となるのは、勘ではなく、原理であり、方法である」

つまり、原理と方法に裏打ちされた行動が企業家精神ということです。自分を振り返っても、この言葉をひたすらに追求しているように思います。なんのために起業したのかを問い続け、どのように実現するかを考え、行動する。この繰り返しです。

今読み直しても心に響く一冊です。当時自分が考えていたことを知る上でも書き込みのある紙の本は貴重です。私にとってのバイブルです。

アントレプレナーの資質:GRIT & PIVOT

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起業して丸26年、その準備段階を含めると30年以上になります。学生時代から明確に職業は「アントレプレナー」と決めていました。当時の私にとって、SONYの盛田昭夫さんやHONDAの本田宗一郎さんが今の大谷翔平選手のようにヒーローだったからです。

会社をつくって社長になることが目的ではなく、クリエイティブに世界のデファクトスタンダードを生み出すような仕事をすることが目的なのでそんなテーマを探すことから始める必要がありました。なんの経験も知識も人脈もカネも無いそんな若造にとっては荒唐無稽な夢のような話です。

まだまだ夢は叶えることは出来ていません。それでも、今でもこの「夢」だけはぶれることがありません。理由はよくわかりません。理屈の話ではなく心の奥から湧き上がり続けているのでしかたがありません。

しかし、テーマの探索から実現方法などは常に失敗と方向転換の連続です。巻き込まれた周囲にとってはとんでも無い話です。それでも、夢にブレがなかったおかげでしょうか、そういった方向転換も必ず夢に近づく一歩となってきました。

いろんなベンチャーの経営者、おっと、いまはスタートアップですね。そういった方にお会いする機会も少なくないのですが、ぶれない夢(GRIT)とたゆまぬ試行錯誤(PIVOT)を繰り返している人はそれなりの成果を出しているように思います。

GRITとPIVOTはアントレプレナーにとって重要な要素ですね。

 

 

 

小人多忙しても不善をなす

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ある呑みの余興にて、座右の銘は?との問いかけがありました。思わず口から出たのは「小人閑居して不善をなす」、いつからか、きっかけも定かではありませんが長いこと自分の行動を形作ってきた言葉の一つです。

とはいえ、イタズラに自ら忙しくするのもダメですね。「小人多忙しても不善をなす」です。負荷をかけたら休む。リカバリーが不十分だといろいろとトラブルが増えてきます。正しい休み方教室があったら通いたいくらいです。

さて、冒頭の宴席ですが、一番印象に残ったのは「人間万事塞翁が馬」でした。自分よりはるかに人生経験の長い方のチョイスだったからです。暇でも忙しくても不善をなすのだから、究極は塞翁が馬ってことかもしれませんね。笑

ロバート・キーガンと言志四録

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先日、とある会話の中でロバート・キーガンさんの話題になりました。先週来日していたようです。

 

8年ほど前に、当時のメンターの薦めで読んだ「なぜ人と組織は変われないのか」(英治出版)の著者です。人間の精神的成長は死ぬまで出来る。しかし、その成長には段階がありそれぞれの壁を越えるには少々コツがいる。そんなことが書かれていました。

 

当時、結構はまりました。心理的に大きな壁にぶちあたっていたからです。

 

それから8年、改めてキーガンさんの示した「大人の知性三段階」図を見て、あれ?「少にして学べば壮にして為すこと有り、壮にして学べば老いて衰えず、老いて学べば死して朽ちず」、言志四録にある言葉と一緒じゃん、とつながりました。

 

いまでは言志四録のほうがしっくりきます。年齢や状況によって響く言葉はかわるようです。でも、中身は一緒。面白いですね。