THE RUNNING 走ること 経営すること

Running is the activity of moving and managing.

健康の年度決算

f:id:runavant:20241006152143j:image

7月より新年度が始まり、事業の年度決算を経て、9月末に株主総会を終えると、健康の年度決算時期に入る。いや、何のことはない、人間ドックのことだ。

いつのまにやら、この時期に定期的に検査を受けるようになっていた。事業サイクルとの兼ね合いだろう。

一年の生活習慣の結果と考えると、健康の年度決算である。毎年の身体の変化を知るよい機会だ。今回は、昨年末に自主的にやめた酒のインパクトを楽しみにしていた。

検査当日は簡易的な血液検査結果をつかって、担当の方と昨年度比較分析を行うのだが、予想に反して腎機能の低下がみられ、これはなんだ?となった。いくつかの指標データと対話から出てきた仮説は「恒常的な脱水」説である。

確かに、今年の夏は軽い熱中症の症状を起こしていた。単なる暑熱順化トレーニング不足だと考えていたが、絶対的水分量が不足しているのではないかという。

なぜ?ということで生活習慣の変化をたどって行きついた先が、断酒だった。酒を飲んでいる頃は、意図的に大量の水分を摂取していた。それが、飲酒習慣がなくなったことでかなり水分の摂取量が減ったのではないかということである。

なんと!断酒の意味ないじゃないですか。と苦笑いしていると、すかさず、一つだけ改善していた肝臓系の指標を指さして、効果はここに明らかに出ています。と断酒継続指示が出た。笑

最近の不調の原因の一つに対する仮説ができたことで、当面は水分の摂取量を意識的に増やして様子を見ることにした。

データがあると、対話が建設的になり面白い。

ウェアラブル端末で睡眠品質や疲労状態の目安になるHRV(心拍変動)などは毎日確認しているが、それだけではわからないことも多い。

健康も半期決算程度のサイクルでデータをとるようにすると、もっと日常の行動に活かしやすくなるかもしれない。

戦略を磨くための株主総会

f:id:runavant:20240929182511j:image

先週、アバントグループの株主総会を開催した。今回、はじめて二部制にした。一部を事業報告と決議事項の承認を問うための通常総会、二部を事業戦略の中でも特に注力している点についての概説と社外取締役や執行役員による小話という構成にした。

不特定多数の一般株主を対象として説明を行う機会は貴重だ。お客様や社員向けの話となると、ある程度業界動向や事業内容に理解があることを前提にできる。その前提がない人たちに向けた話をするのは、自分たちの狭い世界でしか通じないことがたくさんあることに気づかされる。

社外取締役のいる取締役会も同様である。事業については執行側が熟知している。しかし、いざ、社外の人たちにその内容や状況、執行陣が考えていることを伝えることはかなり難しい。ゆえに、その作業を面倒と感じることも多々ある。

しかし、問題は、相手が事業を理解していないことではなく、伝えられないということにある。そもそも、頭の中にあるイメージというものは厄介だ。自分では具体的な感じがするが、言葉で説明できないことも少なくない。

そんな状態のときは、ビジョンはあるが戦略がない。つまり、やりたいことはあるが、やり方が不明瞭という場合が多い。

暗黙の前提が存在しない人たちとの対話の機会は、戦略を磨く絶好のチャンスである。

ここに、ダイバーシティや投資家との対話や社外取締役の活用の意義がある。何事も、品質を高めるには実践の場数を踏む必要がある。株主総会もその機会の一つとして活用したということが今回の二部制にした背景だった。

日本的経営とエイエイオー

f:id:runavant:20240923151815j:image

昨日、第12回ITバスケットボールリーグに顔を出してきた。IT業界の企業を中心に、野球、サッカー、テニス、そしてバスケと、会社の垣根を超えた活動が行われている。

今大会が幹事会社ということで冒頭あいさつを賜ったのだが、選手の面前に立ってまず印象的だったのは、みな若い!試合が始まってすぐ、その激しい運動量を目の当たりにして納得である。

バスケのダイナミックな動きを間近に見ると未経験者でさえアドレナリンが噴き出る。集団で身体を追い込みながら勝敗を決するスポーツは、戦(イクサ)のごとしである。

それに引き換え、長距離ランは静である。先日、禅寺で座禅体験をしてきたが、少し先に視線を集中し、姿勢を正し、呼吸を整えるところまではランも一緒である。スピードを出さないゆっくりランは禅のごとしである。

禅と言えば、先日、日本コーポレート・ガバナンス・ネットワーク理事長で弁護士の牛島信さんとお会いする機会があったのだが、その時の会話はまさに禅問答のようで刺激的だった。

会社のあり方について、一つひとつと、問われた。中でも日本的経営の日本的とは?との問いに、自分の口をついて出てきたのは「武士道」だった。

その問いの前に論語とそろばんの話をしていたのだが、儒教精神以上に、日本という国土に住む人々が長らく紡いできた土着の文化のカタチを反映した日本的リーダーシップ観を表現していると感じた。武士だけではなく、庶民一般にも受け入れられてきた郷学(地域に根付いた教え)と同意である。

さて、冒頭あいさつだが、武士道でイクサとなれば鬨の声ということで、エイエイオーで締めてみた。

富士登山競争もスタート前はエイエイオーが恒例になっている。武田の杜トレイルも、エイエイオーだ。トレランは、敵は我の中にあり、だがイクサ感はある。

これも、一種の文化伝承なのだろうか。参加者全員でやるエイエイオーは気持ちがよい。

富士山クライムラン

f:id:runavant:20240916152238j:image

昨日は、富士山クライムラン、12km 1200dを走ってきた。今年から新設された、富士登山競争山頂挑戦権を獲得できるレースだ。2時間以内にゴールできれば、来年の登山競争で山頂コースに挑戦できる。

昨年までの走力であれば、なんとかクリアできるコース設定だったこともあり、今年は本戦をファンランにして、このレースで挑戦権の奪取を狙っていたが、まったく準備が整わず、またしてもファンランになってしまった。(苦笑)

それにしても、秋の日はつるべ落としではないが、登攀力の低下がすさまじい。昨年までは山頂挑戦のために、写真の馬返しから五合目までを何度もやっていたが、その時の自分が別人のようだ。

「今しかできないこと」の一つとしてトレイルランを楽しんできたが、この調子ではレース寿命は案外短いかもしれない。心身の健康が目的なので、無理を重ねることは本末転倒である。

とはいえ、登りのレースは本当に楽しい。とにかく理屈抜きに好きなのである。

で、あるが、身体はとっくに下り坂だ。登山は、無事下山してこそ成功である。人生の下山も同様だ。

ひところ、登山関連の読書にはまった時期があった。植村直己、モーリス・エルゾーグといったノンフィクションから、新田次郎、夢枕獏まで読み漁った。

その時直面していた経営の壁と重ね合わせて読んでいた。そこからは、チャレンジにおける自己責任と相互扶助という基本から、どれほど渇望した夢があっても、徹底的にリアリストであることの大切さ、つまり死よりも生を優先する判断のありかたを学んだ。

自分にとって山から学んでいることは大きい。トレイル好きであるのは、そんなこともあるのだろう。

やめるのはいつでもできる。気負わず、続けるための工夫をして来年も参加したいレースである。

経営者が本当にやりたいことをやるための企業価値経営

f:id:runavant:20240908150320j:image

世界には、すごい人があふれている。Youtubeやネットを通して、メディアで取り上げられる一部の人だけではなく、本当にたくさんのすごい人がいることを実感する。

「ICEMAN」という本を斜め読みした。

ヴィム・ホフという人による「コールド・トレーニング」の本だ。一種のアイシング効果だろうか。呼吸をコントロールして身体を冷やすことで自律神経を整えることができるようになるというものである。

まぁ、それはいい。問題は、ヴィム・ホフが挑戦したことである。マイナス16度の中をランパンとサンダルだけでフルマラソンを走っている。他にもいわゆる変態クラスのチャレンジを成功させている。

経営の世界にもたくさんのすごい人がいる。

いろんな経営者の話を見聞きして、憧れはしても、簡単にはマネができない。経営者が百人いれば百様のチャレンジがあるからだ。

しかし、コールド・トレーニングにように、自分たちのチャレンジに役立つ手段のヒントを得ることはできる。昨年より東証が要請している「資本コストや株価を意識した経営」によって開示されている情報もその一つである。

自分が起業した四半世紀前は、資金調達先と言えば銀行だった。銀行から借入を行う条件が黒字経営だった。ゆえに、売上利益だけに注力していればよかった。

しかし、上場企業として多くの株主を迎え入れるようになると、銀行借入のように金利をつけて返済していれば本業集中できるというわけにはいかない。

少なくとも、自社のあるべき値段(理論株価)を考え、市場価格とのギャップにも責任をもった経営ができなければアクティビストや競合からの介入を招き、一番重要な本業集中というわけにいかなくなる。

企業価値を高めることは、経営者が自らのビジョンを実現し、長期的な成功を収めるための不可欠な手段であると考えている。

竜王サマートレイル

f:id:runavant:20240901125551j:image

昨日は竜王サマートレイル(17km 1300d)を走ってきた。いろんな考え事でオーバーフロー気味になった思考をデトックスしたかったこともあり、ギリギリまで台風の影響が読めない中での開催はありがたかった。

シンプルに竜王スキーパークを登って降るコースだが、途中にゴンドラでも行ける雲海絶景スポットSORA terraceがある。

登りはゲレンデ直登から始まる。いきなりヒラメ筋に刺激が入るゲレンデの傾斜は思考停止にはちょうどよい。不整地を、呼吸のリズムを整えながら登山よりもちょっと早い程度の速度で1時間も登り続けるといろんな思考がどこかへ消えていった。

追い込みすぎると、オレは何をやってるんだと自問自答が始まる。その手前でペースを安定させると、今度はモヤモヤと引っかかっていた何かが頭の中で言語化されてくる。意識的に考えるわけではなく、自然と整理されていくのが面白い。

マラソンではこういったことは起きない。トレイルと異なりペースがあまりにも一定だからだろう。例えば、マラソンで知らないランナーと走りながら会話することはないが、トレイルでは日常である。同じランではあるが、似て非なるもののように感じている。

そんなこんなでトレイルから山頂にたどり着くと、目の前には開けたゲレンデと極上の降りが待っていた。いわゆるトレランのご褒美というやつである。SORA terraceでは雲で真っ白の絶景(笑)を背景に写真も撮ってもらった。これもマラソンとの大きな違いである。

久しぶりに、気持ちよく走って降りた。身体の疲労度やリフレッシュ度のバランスからもとても「ちょうどいい」レースだった。

リフレッシュの方法はひとそれぞれだが、自分にとっては山の自然を楽しめるトレランがあっている。

ベンチャースピード

f:id:runavant:20240825161029j:image

朝方に雨が降り、少しは走りやすくなったかとロング走に出たところ、また雨が降り出した。

問題はそのあと、晴天になったとたん、サウナで熱くなったサウナストーンに水をかけたように、降ったばかりの雨が一気に気化した。

汗の吹き出し方が半端なくなり、水風呂がわりと地下鉄に駆けこんだ。

こんな天候の変化でさえ、出会うと普段通りとはいかない。

 

生活とは習慣の織物である。そんな言葉がある。シンプルな早寝早起きなど、習慣というと同じことを繰り返すことのように感じるが、そうではない。

変化する環境の中で、習慣によってつくりあげたい生活というものをしっかりと見定め、具体的な行動である習慣はどんどん進化させていくものである。

 

経営も生活と同様である。経営理念やビジョンなど抽象度の高い大きな方向性に対して最善の行動を追求していくと、日々の思考や行動における朝令暮改は日茶飯事になる。

もちろん、こういった変化はは現場の混乱要因にもなるので慎重に現場の活動と連携させる必要はあるが、思考し行動するほど変化の度合いも大きくなる。

 

ベンチャースピードというものがあるように思う。企業の創業期に顕著な環境適応行動の速度である。それを支える行動過多はベンチャー企業における生き残りの要件の一つと考えている。

普通のシステム開発プロジェクトだと一年かかってしまいそうものを、苦しみつつも、パッションをもって半年で実現してしまう。そんなスピード感であるが、ベンチャーだからスピードがあるのではなく、そうしなければ生き残っていけないから生まれるものである。

ゆえに、どれほど企業が大きくなっても、どこかにベンチャースピードを内在できない企業はいずれ衰退するのだろう。

いずれにせよ、個人的には、変化への行動を止めないことがもっとも重要な習慣ということである。