THE RUNNING 走ること 経営すること

Running is the activity of moving and managing.

ヘルスリテラシー向上ノススメ

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先日、がん治療の第一人者である東大病院の中川恵一先生のお話を聞く機会があった。経営者向けのもので、そこで初めて「ヘルスリテラシー」という言葉を知った。健康に関する正しい知識を持ち、それを使いこなす力である。

普段、経営者のリスキリングにおいて「ファイナンシャルリテラシー」の重要性を強調し、その獲得に力を入れてきたが、ヘルスリテラシーについてはまったく無知であったことに気付かされた。

中川先生によれば、がんは約20年かけて1センチ程度の大きさになる。その後1~2年程度で倍の大きさになるまでに発見できれば早期であり、高確率で治癒が見込める。だからこそ、1年以内の定期的な検診は欠かせない。

経営的視点から考えると、70歳まで雇用が伸びると、統計的には約2割の社員ががんを発見されることになる。したがって、その前提で働き方を支える仕組みが必要となる。

また、早期発見であれば切除よりも放射線治療のほうが身体へのダメージが小さい場合もあり、その治療を提供できる病院でセカンドオピニオンを得ることも重要だという話も新鮮だった。

リテラシーの育成は学校教育から始まる。日本では健康関連は保健体育の授業で教えられるが、米国では科学の一環として教えられる。つまり、サイエンスの先生が教えるものだということだ。

中川先生の尽力により、ようやく日本でもがん教育が始まったとのことだが、学生時代から正しい知識をもつことで、がんとの向き合い方はまったく異なるだろう。

F(ファイナンス)の前にH(ヘルス)のリテラシーこそ、より重要なリスキリングであることに気づかされたとても印象的な話だった。

 

PS:中川先生のお話は以下のリンクからもご覧いただけます。

www.gankenshin50.mhlw.go.jp

 

社会構造の違いを理解して経営力を磨くということ

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経済産業省の「製造業を巡る現状と課題、今後の方向性」を読んだ。企業経営に役立つ情報サービスを提供する本業にかかわる話も多く、読みごたえがあった。

https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/seizo_sangyo/pdf/016_04_00.pdf

経営力への指摘は製造業に限った課題ではない。限られた事業資産を成長分野に最適配置することの難しさは自分にも当てはまる課題だ。

経営力というと非常に広い概念になるが、2023年3月の東証要請以来、注目度が上がっているPBR(Price Book-value Ratio、 時価総額を純資産で割ったもの)が問題になる企業においては、企業価値を高めるために、「どこにはるか(立地)、だれにはるか(人事)、いくらはるか(投資)」の最適化を続けられるかどうかが問われる。

事業会社の経営は、自ら稼ぐ点と、エグジットという名の店じまいがない点では投資家と異なるが、経営資源のアセット・マネジメントという視点では、同様のファイナンス思考が必要とされる。

しかし、日米を比較すると、社会構造的に投資家視点を養う教育環境や、自国の資本によるプライベートエクイティやベンチャーキャピタルの影響力という基礎的な点で大きな差があると感じている。この違いを理解して経営力を磨かないと、リスクが高まる。

社会構造は歴史の蓄積の上にある。今回の写真は以前立ち寄ったプリンストン大学のものだが、立ち並ぶ歴史的建造物は見えない知財の蓄積も物語っている。教育問題の解決は簡単ではない。

しかし、すでに日本の製造業の多くはグローバル展開をしている。製造業トップ500社では、従業員の6割が海外拠点だそうだ。つまり、企業が日本の社会構造問題から脱却する素地はすでに整っている。

社会的な環境整備には時間がかかるが、企業経営力の向上は待ったなしだ。したがって、自らが変わるしかない。ヒントになるのは、すでにファイナンス思考的経営を実践している企業のマネジメントチームのあり方なのかもしれない。

人が走っているのを見るのも案外悪くない

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セントラルパークを朝ラン中に、New York Mini 10k Women's Raceに出くわした。

約一万人の参加者がウェーブスタート(一定の集団毎に時間差でスタートする方法)でひっきりなしに出走していたが、いくつかのウェーブがスタートした後も、参加者が歩道を歩いていたりと、かなりのんびりしたシティマラソンである。

いろんな領域でジェンダーレスが進んでいるが、これはこれでありなんじゃないかなぁ、と素朴に思った。

トレイルランやマラソンのトレーニングで、「修行だ」などと言い聞かせて走っている自分が、なにやら滑稽に見えてくる。

個人的にはそれも楽しいのではあるが、日々のコンディションに悪影響を与えることも少なくない。

自分のランを振り返るにためにも、人が走っているのを見るのも、案外悪くない。

AI時代であっても「百聞は一見に如かず」

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出資先である米国ニュージャージーのベンチャーキャピタルの集まりに参加している。AIに関連するビジネスの未来に対して強気な発言が多い一方で、その基礎をなすデータの信頼性について議論が集中した場面があった。

私たちが普段から触れている情報も、何が真実であるか判断することが難しい。むしろ、意図を持った情報操作はいつの世でも行われている。大量にデータが生み出されている現在、その担い手としてAIの存在感が大きくなっている。

トランプ前大統領の有罪判決の翌日、ハドソン川の上を「トランプ大統領は何も間違っていない」という横断幕を引いた飛行機が飛んでいた。遠くてわかりにくいが、写真はその時のもの。

スーパーで売っているプライベートブランドの約1リッターのオレンジジュースが7.59ドル。日本円に換算すると約1200円、これはリアルである。

どのような選択をするかは個人の価値観次第である。そのための判断力は、五感で違和感や納得感を感じられるリアルな体験を通してしか高められない。そんな気がする。「百聞は一見に如かず」である。

「窮すれば変じ、変ずれば通ず」の27年

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今日はアバントグループの創立記念日。満27歳である。

先日、友人より「窮すれば即ち変ず、変ずれば即ち通ず」という中国のことわざを教えてもらった。言い得て妙な言葉である。

窮にもいろいろあるが、一度窮した状況が改善されると、変化に鈍感になりやすい。そして変化を見過ごすと、いずれまた窮する。そんなことを何度も経験してきた。

変ずれば通ずの前に、窮して変化することにかなりのエネルギーを使ってしまい、変化対応疲れを起こすからだ。

そうならないようにするカギは、変化に対するスタンスを受け身から主体的にすることである。常に、何かを新しくしていく。

しかし、これが難しい。常に、心の中になんらかの「窮」を飼っていなければならないからだ。

変ずれば通ずを日常とするためにも、スティーブ・ジョブスの言葉「Stay hungry, stay foolish」、松下幸之助の「日に新た」などにも通じる、健全な「窮」を育てていきたい。

「信用第一」だからこその「赤字は悪」

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定期的にグループメンバー向けにメッセージを発信している。

そのフィードバックの中に、「利潤と道徳の調和を重要と言うが、『赤字は悪』というスローガンと結びつけると道徳がおろそかになりそうだが、そうならないように心がけていることはなにか」というものがあった。

当社には、経営判断の優先順位を定めた「五つの鉄則」というものがある。リーマンショックのころ、事業継続のための厳しい判断を迫られる中、決して曲げてはならない優先順位を言語化した。追いつめられると一線を越えないとも限らない。そうならないための判断基準である。信用第一、赤字は悪、仕組みを作る、成長を加速する、一芸を究めるという順番である。

利益を追求するまえに、信用を優先する。成長を追求するまえに、それを支える仕組みをつくる。そして、これらがそろって初めて、ビジョンの実現にまい進できる。創業経営者がハマりやすい、自分のやりたいことを優先して事業をおかしくするということへの戒めでもある。

特に重要なのが最初の二つ。信用第一、そして赤字は悪である。事業とは信用の上になりたっているものであるという当然のことを言っている。赤字であることは、そもそも信用において問題があるからこそ悪であるということである。

『赤字は悪』という言葉はインパクトが強いのだろう。しかし、その前に『信用第一』があることこそが、赤字は悪の意味を正しくする。

小諸で発見したBE GLOBAL

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ソラリスというワインをつくっている小諸にあるワイナリーに行ってきた。白が飲みたくなるとこのソラリスを飲むことが増えていたが、なんの予備知識もなく訪ねた。

そこで、昨年2023年に国際コンクールで世界一の評価を得たワインがあることを知った。10年ほど前まではどこかさっぱりしすぎる感覚があり、国産はむつかしいのだろうと思っていたが、知らぬ間に世界一を生み出していた。

西畑さんという若手の醸造責任者がこの快挙をけん引したという。フランスでの修行経験を踏まえつつ、小諸の土壌とぶどうのポテンシャルを最大に引き出すための栽培力を養い、すばらしいワインを生み出すに至ったそうだ。

海外のブドウ畑とはだいぶ趣の異なる小諸だが、ひたむきな、いい意味での野心と知恵と工夫によって、世界に通用する作品を生み出していることには感動しかない。

受賞したワインは完売だったが、ほかにも面白そうなものがあったので買って帰った。

半年近く酒を飲んでいなかったが、そろそろ飲みごろだな。笑