THE RUNNING 走ること 経営すること

Running is the activity of moving and managing.

ありたい姿をつくるための「非財務情報」

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上場企業の情報開示において、従業員のスキルや満足度といった非財務情報が注目されている。企業価値を高める長期的視点の経営に役立つからである。投資家にとっては、将来の成長性を知るための情報ということになる。

実際の経営も、財務諸表を中心とした財務情報以上に、営業パイプラインや、顧客との信頼関係、従業員の士気などなど、財務諸表に乗ってこない情報に依拠している。ところが、こういった非財務情報は、会計基準がないため個人や特定の組織の感覚によっているだけでなく、数値化すらされていない場合も多い。

一方、非財務情報の研究も進んでいる。PBR(Price Book value Ratio:株価純資産倍率)といった非財務要素を多分に反映する無形資産の価値を示す企業評価指標と、女性役員比率や、事業活動におけるクリーンエネルギーの使用率など、多種多様な非財務情報との相関分析もその一つである。世界がどのような未来を志向しているかが見えてくる。

しかし、企業経営においては、企業価値を上げるために相関関係の高い非財務情報を単純に適応することには違和感がある。というのも、経営における非財務情報とは、「こうありたい」という経営理念やビジョンが多分に反映されるからだ。

とはいえ、ありたい姿を言語化し、指標として表現することは案外むつかしい。そこで、評価されている指標を、外国語の単語を覚えるように理解して、自分の肌感覚を表す言葉として活用することは有効と感じている。

あくまで未来のストーリーは自ら考えるものである。しかし、適切な言葉を知らなければ、言語化できない。ということだ。

事業活動は、さまざまな人々によって創発されるものである。非財務情報を活用しながら対話が進めば、もっと魅力的な会社をつくることができる。非財務情報は創造的対話に欠かせない語彙集である。