THE RUNNING 走ること 経営すること

Running is the activity of moving and managing.

スキー専用ゲレンデにいったら、再開したスキーがスポーツになった

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4月から始まるトレイルシーズンを前に、レースコースで走ったことのあるスキー場に出かけた。一昨年参加した美ヶ原トレイルランのメイン会場だったブランシュたかやまである。

スキーヤー専用のゲレンデらしく、レベルの高いスキースクールの様子をリフトから眺められるのが楽しかった。野沢温泉など、最近は外国人のほうが多いのではと思うスキー場が増える中、日本人以外をまったく見かけなかったのもある意味新鮮だった。

スキー場のある戸隠や野沢温泉などを舞台とするレースに参加するにつれ、しばらく遠ざかっていたスキーへの関心が高まった。十数年ぶりに板と靴を新調しようと、店の人に相談したら年齢や経験を踏まえて、初中級者向けのものを薦められて素直に従った。もちろん格段に進化している安全装備もしっかり整えた。

こうやって再開したスキーであるが、扱いやすい板で心肺機能を追い込むことのない滑降で物足りなさを感じていた。そんな矢先でのブランシュたかやまである。スキースクールの様子を見るにつれ、少し真面目に滑りたくなった。

気になっていたHEADの板のレンタルもあったので、いくつか試しながらショートターンをひたすら繰り返した。おかげで今日はぐったりである。ランとは違う疲労感だ。再開後はまったく疲労感を得られなかったのでスキーはスポーツじゃない、などどうそぶいていたが、前言撤回である。

おそらくこれで滑り納め。いよいよトレイルランのシーズンが始まる。

無理せず全力というスタンスは、問題の設定から始まる

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10代から、書くことで心を整える習慣が続いている。今でいう「言語化」である。もやもやした感情を言葉にすることで、不安や恐怖感の理由を特定し、解決のための行動に集中することができる。

 

自分との対話は、壁にぶつかった時に長くなる。順調な時は短くなるが、経験上、そんな時こそ危険だ。時間を無為に過ごしてしまうことも少なくない。

 

そんな経験を繰り返すうちに、特に書きたいことがない時でも「問題は何か?」という問いかけを行うようになった。少し身体が疲れていると感じれば、無理な運動をせず、リカバリーを優先する。そんなことも問題設定の一つだ。

 

ところが、問題の設定は案外難しい。他人から与えられるものではなく、自らつくるものだからだ。創造力がカギになる。「無理せず全力で」というスタンスにも通じる今年のテーマ「自靖自献」は、創造的な問題の設定から始まる。

東京マラソン2024、無理せず全力で走ってみた

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今日は東京マラソン2024。

天候にも恵まれ、2017年のパーソナルベスト(PB)を3分更新した。

もとのPBがそれほどでもないとはいえ、58歳でPBを更新できたのは驚きだ。

無理せず全力というスタンスが効いている。

しかしながら、来年はもっと、などという気にはならない。

いろんな工夫のご褒美という程度で満足、満足。

日経平均株価最高値更新:本格的企業価値経営の時代に突入

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2024年2月22日、ついに日経平均が最高値を記録した。

1989年12月29日以来、34年ぶりの高値更新である。平均株価を構成する銘柄や株価の評価指標といった質が全く異なるものなので参考値程度に見ておけばよいものではあるが、1990年に社会人になったものとしては感慨深い。

この30年間、日本はグローバル経済の中で実質的な鎖国を行っていたようなものである。バブルの調整とそこそこ大きな国内市場を背景にしたデフレ経済により、世界的な通貨インフレから取り残されつつも、国内経済自体は比較的安定していた。

ところが、2013年以降の円安に伴い一挙に海外資産と価値ギャップが広がり、海外投資筋は日本の不動産資産等を買い始めた。それに、アメリカ中心の世界秩序が弱まり、地政学に変化が起きたことで、ジャパンパッシングしていたマネーが日本の証券市場にも流れ込んできた。

企業経営においては、株価というものが無視できなくなった。株価は経営者が管理できるものではない。などどいっていられた時代ではなくなった。会社を商品と捉え、販売希望価格としての企業価値をしっかり管理し、市場価格である株価に対する責任をもつ時代となった。

約30年企業経営の変遷を見てきたものにとって、今回の最高値更新は、日本企業が本格的な「企業価値経営の時代」に突入した象徴として映っている。

東京マラソンまで二週間、仕事と練習で心身のバランスを整える

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東京マラソンまであと二週間。今年はだいぶ練習方法を変えたなぁ。練習レースも入れず、週末にゆっくり長く走り続けるLSD(Long Slow Distance)をメインにした。今週末は両日とも仕事だったが、なんとか予定していた練習ができた。おかげで、心身のバランスは悪くない。今日で皇居周回LSD練習も終わり。あとは、体調を整えるだけ。本番が楽しみだ。

CEOがCFO組織に求める、気象予報士のような役割

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先週関東甲信地方に大雪警報が発出された。首都高をはじめ、各種交通機関などで予防的通行止めなどの処置がとられた。

幸い大事は発生しなかったようだが、2018年1月の大雪で発生した山手トンネルの大渋滞の経験を生かした予防処置と聞いている。

一見大げさに見える予防処置であるが、万が一問題が発生した事後対応と比べると格段に負担が小さい。

企業経営も同様である。

危機に瀕した状況からの事業再生など武勇伝には事欠かないが、本来は武勇伝などないほうがよい。

企業経営は人間の営みなので、その問題の多くは人災である。人災はやっかいである。同じ問題を繰り返す傾向が強い。なぜなら、人は見たいものしか見ないからである。

では、どうすれば人災を減らせるのだろうか?

経験的には「創造的対話」が一番効く。

創造的対話は、見たいものしか見ないのではなく、見たくないものも直視して、見るべきものを見て行動するための対話である。適切な予防的処置を繰り出すためのプロセスに似ている。

企業経営のルーティンにおいては、取締役会や経営会議といった場が創造的対話の場であるべきだ。

この創造的対話には天気予報のような助けが必要だ。経営は決算のサイクルで回っている。しかし、決算情報の多くは結果である。しかも、事業成果は人の活動によって生み出すものなので結果を出すまで頑張ってしまう。

このような事業努力のサイクルが本来直視すべき現実を先送りして問題を大きくしてしまう。そんな経験を自分自身も繰り返してきた。

そんなこともあり、当社ではCFOラインというファイナンスとアカウンティングを融合したグループ横断の組織を、企業経営における天気予報士のチームにできなかと試行錯誤している。

決算結果という経営状態のスナップショットだけではなく、過去のデータから未来の計画までを駆使し、経営の議論を聞きながら肌感覚を養い、「経営チームは例の計画を達成可能と考えているようですが、俯瞰して見るとかなりのリスクがあり未達になりそうですよ」といったような警報のような予報を実験的に出してもらっている。

精度はともかくとして、予報が手に入るだけでも格段の進歩である。「こんな予報はつかいものにならん」といってはなにも始まらない。まず、「そんな見方があるのか」と素直に受け止め、そして、どうする?である。

経営者みずから予報士を兼ねるのはなかなかむつかしい。それは、数多くの武勇伝が物語っている。血の通った気象予報士ならぬ経営予報士は創造的対話に欠かせない。

「神は内部に宿る」GPT時代のラストワンマイル

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ある日、考えが煮詰まって身近な何人かに相談したいと助けを求めた。雑談のような場であったが、短い時間で煮詰まっていた問題の輪郭が見えた。

本当に解決すべき「問題」を特定することはかなり難しい。

人間の身体でも、どこかに痛みが生じると対処療法的にその痛みを抑えようとしてしまう。しかし、本当の問題は生活習慣や普段の姿勢にあったりする。そんな、本当の問題は痛みを感じている当事者にはなかなかわからない。とにかく、痛みを取りたいと考えて場当たり的になりやすい。

そこで、壁打ちチャットである。振り返ると、GPTをつかうようになってから自分自身との対話速度に変化が生じている。世界中の言語化された知識や経験を自分自身の一部とすることで内的な対話の幅や速度は確実に広がった。

しかし、GPTとのチャットでは経営問題は特定できない。どうやら、GPTでは越えられないラストワンマイルがあるようだ。

気心の知れた仲間たちとは、言語化されていない経験やビジョンを分かち合っている。こういった生きた人間関係から紡がれるインスピレーションこそが問題を創造するのである。

「神は細部に宿る」とは、バウハウス、近代建築の巨匠ミース・ファン・デル・ローエの言葉だが、GPT時代の経営においては「神は内部に宿る」と直感している。