THE RUNNING 走ること 経営すること

Running is the activity of moving and managing.

走っている最中に何かヒラメキますか?

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今朝は二年ぶり二度目の檜原ヒルクライムレースに参加。先頭集団、当社自転車部部長のガチ出走を見届け遙か後方よりスタート。直後からガンガンに抜かれ約1時間半後のゴールポジションはそのさらに後方、なれど至福のひとときとなりました。

 

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今回参加した自転車部メンバー、ロードバイク女子が表彰台に立ちました。

 

そんなレースの帰りに「走っている最中に何かヒラメクか?」という話題になりました。個人的な答えは「イイエ」、とは言えいろんな事を思い巡らしながら走っているのは事実です。

時間の長いレースほど、その時に気にしている事や悩んでいる事、時には昔の出来事、後悔など、まるで夢の様に脈絡無く様々な思考が駆け巡ります。それでも、走り終わってみると心や思考がスッキリしている事が多いのも事実です。良い睡眠がとれた朝のようです。

では、どんな時にヒラメクのか?

私の場合は朝起きてからしばらくの時間や長時間走った後の時間が多いようです。夢を見るのは脳が情報を整理しているからと言う話がありますが、ヒラメキを得るには起きている時にやる論理的思考とは別の無意識の情報整理が必要なのでしょう。

身体の面では負荷をかけるランですが、脳の情報整理に関しては睡眠に近い効果があるのかもしれません。

さて、来週は毎年恒例の「ハセツネ」、秋の奥多摩を百鬼夜行ならぬ、約二千五百人のランナーと夜行です。日頃の情報過多を思いっきりデトックスして来ます。

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情報生産性を向上するために超えるべき三つの壁

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昨日は渡良瀬ハーフマラソン、フラットなコースを三周。天気予報を裏切る秋晴れのファンランでした。しばらく走れていない時など、レースへの参加は軌道修正の良い機会となります。

 

さて、今回は情報生産性の話。

当社の顧問でもある首都大学東京の松田智恵子先生曰く、「経営とは情報生産性の向上を追求するものである。」実体験からも経営実務はまさに情報生産性向上への挑戦であると言う実感があります。

情報生産性は最終的に企業価値で評価すべきと捉えています。労働生産性は人間を基礎としている事から人間の物理的制約によって向上限界が存在します。情報生産性も同様に、企業を基礎としている以上限界もしくは適正水準が存在します。ファンドが企業に投資をする際の指標の一つであるEV/EBITDA((時価総額+純有利子負債)/(税引き前利益+支払利息+減価償却費))は情報生産性を計る一つのKPIです。

 

そんな情報生産性ですが、これまでの経験からその向上には三つの突破すべき壁があると考えています。

 

①人間の認知能力突破への壁(グループ経営)

会社の成長で100人の壁や10億の壁、30億の壁など多少の差はあれど大凡50人~300人、10億~30億程度で足踏みをする例は少なくありません。理由は様々ですが情報生産性の観点から捉えると、経営者の情報処理能力、言い換えると認知能力が壁の原因です。多少の個人差はあれど、人間の認知能力に大きな差はありません。経営者が市場、顧客、社員などの総合的情報を一括して把握できる状況は高いパフォーマンスを発揮する事も出来ますが早晩個人の限界にぶつかります。壁を突破するためにグリッドコンピューティングの如く経営の意思決定単位の細分化が欠かせません。しかし、様々な理由で経営単位を分解する事は容易ではありません。ここに一つ目の壁が存在します。

 

②外部情報取り込みへの壁(フィナンシャルベンチマーク)

二つ目は、自社の成長を外部視点から見直す事が出来るかという点です。VCやPEの視点は企業の持つ経営資源や事業の立地を棚卸しして、企業価値の伸びしろを発見して行くものです。優れたPEは良質な外部情報を大量に保有し活用する事で投資対象企業の潜在的価値を見つけ出します。一方の企業は、自社が持つ顧客情報や事業のオペレーション情報を大量に持っているのでどうしても自社内の情報をベースに年度予算や中期計画を策定する傾向が強いのですが、同業や国内だけでは無く様々な業種や会社の企業価値(財務パフォーマンスではない)と相対比較する事ですでに起きている未来を成長を取り込む事が出来るようになります。では、外部情報を手に入れれば活用出来るかと言えば簡単ではありません。本業の社会貢献視点を要するので単純なファイナンス視点とも異なります。これが二つ目の壁です。

 

③未踏情報アクセスへの壁(ストラテジックM&A)

最後は公知では無い情報にアクセス出来るかという点です。ネットや情報ツール等で様々な情報にアクセスする事が可能になりました。しかし、他の企業や人がアクセス出来る情報だけでは情報生産性の向上にそれほど寄与しません。情報生産性の価値は情報の不平等で創られます。この不平等は知っているか知らないかと言う話ではありません。皆なんとなく知っているが、詳しくは知らないラストワンマイルに集中しています。VC等のインナーサークルもその一つです。とは言え事業会社の場合本業たる事業成長のための投資が目的です。単純にインナーサークルに入っていても使いこなす事は困難です。結局の所自ら事業価値の創造シナリオを描き、その加速のために必要な協力関係を築く、投資はその手段として活用すると言う事になります。その上で未踏情報へアクセスするのですから難易度は相当なものです。

 

以上三点、情報生産性の向上において超えるべき三つの壁は私にとっては「経営情報の大衆化」という当社のミッションを通して、お客様への貢献という視点でも真剣に解決したい課題となっています。

 

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無借金経営、今昔物語

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実質無借金経営と言う言葉は、会社の安定性を説明するときの常套句です。返済余力を持ち、自分の食い扶持が自分で稼げている事を言います。とは言え、事業成長において設備投資など大きな資金を必要とする場合は銀行借入れや市場から資本として調達する事が出来ます。将来的にキャッシュとして回収可能であれば前借りして事業を成長させる。当然の事です。

資金調達を借入れだけで行う場合はそのリスクをPL(損益計算書)的に体感する事が容易です。借金の総額と返済プラン、金利条件など調達段階で返済リスクが明確であり、借手がそのリスクを体感する事が出来るからです。

資本調達も経営者にとっては本来借金と同じです。十数年前には資本は返さなくて良いリスクマネーだと言う話をちらほら聞いた事もありましたが、世界的低金利もあり現在は銀行借入れよりも利率の高い資金調達方法であると言う認識が定着しています。

しかし、資本調達に対する借金は銀行借入のように感覚的に分かり易いものではありません。そこで幾つかの工夫をして借金的な感覚を養ってきました。

一つは、金利に相当する配当の考え方です。アバントではDOE(純資産配当率)を採用しています。預かっている株主資本に対する金利的な考え方で捉える事が出来ます。

分解式としてROE×配当性向となりますが、これだとPL的な事業経営感覚には今ひとつ響いてきません。

そこで株主資本コストを勘案したDOEを政策金利のような最低金利と考えると返済に必要な絶対額を意識する事が出来ます。その額を含めて黒字経営を徹底することが出来れば自ずと純資産も増加して翌年以降の配当額も増加します。これによって、意識しづらい資本調達コストをPL主体の事業経営に織り込むことが出来ます。

もう一つが元本返済に相応するのれんに対する回収です。

個人的に純資産と時価総額のギャップは経営者にとって将来必ずキャッシュとして回収すべき借金と認識しています。

時価総額とのギャップ以外にもM&Aの内容によってはBS(貸借対照表)上の自己資金をのれんに大きく置き換える事もあるでしょう。M&Aの場合純然たる会社の稼ぐ力だけでなく市場で取引される価格が強く影響するのでくせ者です。

のれん相当部分の現金回収は10年にも20年にも及ぶ場合があるので一人の経営者でその回収が出来るものではありません。それでも不確実な未来に対して可能な限り将来キャッシュフローの最大化を通してのれん回収の段取りをつける事は返済義務の履行と同様です。毎年の事業成果や戦略の進捗は総合的な返済義務の履行のようなものと捉える事が出来ます。

そんな視点により将来に無理な借金を残さない事で事業の継続性を高める事が出来ると考えています。また、企業価値が将来キャッシュフローの総和であると考えると、事業の健全な存続期間が長いほど企業価値は上がります。

そしてなによりも、途中で破綻するとそこで大きく損や害を被る人が出ます。ゆえに、社会同様、企業も単なる成長の追求ではなく、持続発展を第一とした上での成長の追求が経営の最優先事項と考えてきました。当社の経営理念である「100年企業の創造」はそんな思いを背景としています。

成長に対するリスク取ることを強く求められる上場企業として、持続発展を第一としつつも取るべきリスクをとって行く資本市場に対する実質無借金経営という発想を大切にしています。

公器の時代

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先日、米国証券取引委員会(SEC)のヘスター・ピアースさんとのコーポレートガバナンスに関する意見交換会に参加して来ました。学生時代から「公器」としての企業経営の在り方に強い関心があり、起業の機会を得てからも腐心を重ねて来たテーマだからです。 

公器としての在り方は、渋沢栄一の「論語とそろばん」という考え方を参考に、論語については中国の古典や経営者の書いた本、歴史や戦史を題材にした組織論、そして経営の先輩を始めとする人との対話から学びました。論語の本質は昔も今も変わりません。

そろばんは実践環境から学ぶしかありませんでした。経済上のリアルな生存競争でありひたすら環境適応を繰り返す必要があるからです。その一方で自分の経験に視座が偏る不安が常に付きまとい、手探りの状況が続きました。

そんな私にとって、コーポレートガバナンス・コードと関連レポートは上場企業に対してそろばん視点でガバナンスの目的をはっきりさせた点でかなり有効であると感じています。一点難があるとすれば、企業のフェーズ、規模、事業モデルなどが配慮されておらず、包括的すぎる点でしょう。

とは言え、ステークホルダーとの対話や経営理念などとも照らし合わせ、内容の是非を含め補正するのは経営側の役割なので大きな問題ではありません。

さてピアースさんとの話ですが、冒頭で渋沢栄一に触れつつ、金融は社会の発展のためにあると言及したことに驚きました。

であればと、私自身の公器を創るためのコーポレートガバナンスに対する試行錯誤の実体験から、SECがベンチャー企業に対するガバナンス教育についてどのように考えているか質問をしてみました。

ピアースさんからは、いくつかの取り組みについてお話いただいたのですが、最も印象に残ったのは、話の内容よりも、最後に少し考え込む仕草をしながらつけ加えた一言、「interesting...」の空気感でした。

私にとっては、グローバルに「新たな公器」の時代が来ている。そう直観した瞬間となりました。

サステナビリティという論語と経済成長というそろばんのバランスがより問われる時代へとコーポレートガバナンスの潮流は確かなものとなっています。

仕事バカにもたまらない、「高畑勲展」

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お盆の季節。帰省などで普段忘れがちな自分の原風景を再確認する方も多いのではないでしょうか。私の原風景は古河。渡良瀬遊水池の景色もその一つです。(写真)

話は変わりますが、国立近代美術館の高畑勲展(2019年7月2日~10月6日:東京国立近代美術館)に行って来ました。切っ掛けは身内からの「行って来たよ」のメッセージ。

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高畑さんと言えば個人的には「火垂るの墓」「平成狸合戦ぽんぽこ」「となりの山田君」など、宮崎さんのジブリ作品とは異なる、映像と比べメッセージの強さのギャップが強すぎる作品を少し煙たく感じていました。

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そんな高畑さんの仕事と作品を集めた本展は、表現者としての挑戦とその取り組みへの半端ない情熱と知恵と初志を知る機会となり、煙たさが畏敬へと変わりました。

中でも若き時代の野心的作品である「太陽の王子 ホルスの大冒険」制作にあたり、スタッフと共有したテンション・チャートなどのプロジェクト資料はプロジェクトワークツールとして見ても革新的です。

ジブリ好きだけでなく、仕事バカの方にもお勧めです。

さて、予習は十分、「かぐや姫の物語」、見よう。

富士登山競走2019、来年へのエナジーチャージ

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恒例となった富士登山競走、今年もアバントグループメンバーと参加してきました。72回目の今年は、山頂付近の天候不良のため山頂コースは五合目打ち切り。今年は殆ど準備が出来なかった事もあり、周囲の落胆とは裏腹に個人的には安堵を覚えてしまいました。(笑)

 

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毎年楽しみにしている選手宣誓とエール。今年の選手宣誓は63歳の女性の方、19回の挑戦、そして一度だけ山頂を制覇した経験が糧となっているとのお話は、今回含め8回挑戦、山頂制覇0回で忙しさを言い訳に折れかけている自分の目標となりました。(もう少し工夫して見たくなりました)

そして、恒例の宮下さんとご家族によるエイ・エイ・オー、もはや親戚に会いに来ているような感覚です。(元気にしてるかなぁと、また会いたくなる)

 

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無理せずとも手は抜かず(これが案外難しい)に走り終える事で自分の現在の走力を知るとともに、忙しさに翻弄されていた自分のメンタルがリセットされました。(とてもスッキリしています)

新たなチャレンジに心身を整えて臨んで行こうという新年の初詣にも似た心境です。来年へのエナジーチャージが出来ました。また来年、メンバーともどもお世話になります。

ウェールズの石畳とDIVAのトリビア

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UKです。ウェールズのトレイルには古い石畳が点在していました。走りながら、いつ誰が敷いたのだろうかと不思議な気持ちが沸いてきました。転じて、今回はDIVA関連のトリビアを三つ。

 

1.マイクロソフトに倣った6月決算

最初は決算期の話。当社の会計年度は7月~6月です。会計年度を意味する「FY」に年度末日のカレンダー年である下二桁を使って、例えば今期の場合FY20、と表記します。

6月決算とした背景は業務上の理由も含めいくつかありますが、MS-DOS時代からベンチャー企業としてリスペクトしていたマイクロソフトが6月決算であった事もその一つです。世界に通用するソフトウェア会社になれという一種の願掛けです。

 

2.太陽系にインスパイアされたDivaSystem

続いて、DivaSystem。DIVA社の製品、DivaSystemの名称は太陽系を示すThe Solar Systemに肖(あやか)ったものです。創業の頃自宅の部屋に貼っていた大きな太陽系のポスターにインスパイアされました。データという太陽を中心に、データを活用する多様なれど秩序あるシステムとなれという思いを込めました。

 

3.経営情報を情熱的に歌え上げろ!歌姫DIVA

最後はDIVA、こちらはラテン語由来で歌姫を示すDIVAです。情熱的な歌姫の如く、経営者のパッションに火をつける歌姫となれという思いを込めました。インテリジェンスではなくパッションです。NIKEのようなグローバルブランドに負けぬ名称をと考えている時にフランス映画のDIVAを見て是だ!と直感した事が切っ掛けです。

 

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トレイルの石畳に埋もれたトリビアを思い出させてもらいました。