安倍政権のレガシー、コーポレートガバナンス改革
アベノミクスと呼ばれた経済政策を8年弱に渡り牽引した政権が終わりました。新たな政権はアベノミクスの継承を全面に押し出しています。ゆえに、これまでと変わらないだろう安心感のもと粛々と政権交代が進みました。しかし、長期政権のリーダーが変わることは一大事です。好き嫌いは別として、少なからず安倍さんロスを感じます。さて、そんな安倍政権のレガシーですが、コーポレートガバナンス改革もその一つでしょう。
経営者の学習環境を整えるための改革
成長するグローバル経済の中で相対的に地盤沈下した日本経済を立て直すために、企業の稼ぐ力を高めよう。そのためには企業経営者が、自ら投資家や社外取締役と建設的に対話する環境が重要だ。なぜなら、企業価値の向上にはファイナンスの視点が欠かせないし、自社の状況を正しく理解するために外部の視点を活かす必要がある。ようは、経営者が企業価値を高めるために効果的な成長・学習環境を整える事で、稼ぐ力を高めよう。そういった文脈で私はこの改革を理解しています。
投資家との対話だけが不足している訳では無い
私自身、外部との対話を通して学んだことは、価値創造につながる「多様な対話」の重要性です。投資家や社外取締役だけではなく、顧客、社内マネジメントやメンバー、業界を超えた経営者、専門家など様々です。グループ経営の場合は、グループ会社のマネジメントとの対話も重要です。
対話そのものは、企業経営者であればだれでも重視しているでしょう。しかし、その多様性は自覚以上に案外偏っているものです。そこに新たな視座をもたらすという点では、少々効率と品質に難はありましたが、コーポレートガバナンス改革の視座には一定の価値があり、なにより「創造的対話」というものの価値を再発見する機会となりました。
創造的な対話を促すための経営情報
さて、この創造的対話ですが、私の中でより重要性が高まったのは対話のための経営情報です。結果を知るためのレポーティングやオペレーションのためのモニタリング情報ではありません。未来を創造するための情報です。単なる事業計画ではありません。また、多様な対話という視点からも画一的なものでもありません。さて、どうやって創造的対話のための情報環境を整えようか?そんな問題意識をもって当社でも統合報告書の作成に取り組むことにしました。さて、多様なステークホルダーとの創造的対話に役立つ経営情報と出来るか。それこそ創造的に取り組んでいこうと思います。