2024年2月22日、ついに日経平均が最高値を記録した。
1989年12月29日以来、34年ぶりの高値更新である。平均株価を構成する銘柄や株価の評価指標といった質が全く異なるものなので参考値程度に見ておけばよいものではあるが、1990年に社会人になったものとしては感慨深い。
この30年間、日本はグローバル経済の中で実質的な鎖国を行っていたようなものである。バブルの調整とそこそこ大きな国内市場を背景にしたデフレ経済により、世界的な通貨インフレから取り残されつつも、国内経済自体は比較的安定していた。
ところが、2013年以降の円安に伴い一挙に海外資産と価値ギャップが広がり、海外投資筋は日本の不動産資産等を買い始めた。それに、アメリカ中心の世界秩序が弱まり、地政学に変化が起きたことで、ジャパンパッシングしていたマネーが日本の証券市場にも流れ込んできた。
企業経営においては、株価というものが無視できなくなった。株価は経営者が管理できるものではない。などどいっていられた時代ではなくなった。会社を商品と捉え、販売希望価格としての企業価値をしっかり管理し、市場価格である株価に対する責任をもつ時代となった。
約30年企業経営の変遷を見てきたものにとって、今回の最高値更新は、日本企業が本格的な「企業価値経営の時代」に突入した象徴として映っている。