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経団連とスタートアップ:会社の価格と流動性

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先日、経団連のStartup Summitに参加してきました。このイベントは2022年3月に公表された「スタートアップ躍進ビジョン」の活動状況報告を兼ねたものでした。

戦後の経済発展をけん引してきた大企業中心の経済団体がスタートアップの振興に力を入れています。ビジョンの目標は5年でスタートアップを量・質ともに10倍にするという野心的なものです。

なぜ経団連がスタートアップに注目するのか?その理由は多々ありますが、大企業がスタートアップからアイデアや魅力的な人財をどんどん取り込んで、知財と人財の流動性を高めるエンジンとして機能しようとするところにあると、個人的には理解しています。

ただし課題も感じます。例えば、日本の大企業と米国のGAFAMなどと比較した場合、企業価値にはかなりの乖離があります。企業価値が高い会社は、高く評価されているスタートアップを買収することにも積極的になれますが、そうでないと難しいように感じます。

私自身、企業価値の重要性に気付いたのは、海外企業との資本提携の話がきっかけでした。その案件は結果としては流れたのですが、自社の企業価値が相対的に低く、価格の折り合いがつかなかったことが理由でした。

現在のスタートアップが米国の価格体系で評価されることは少なくないです。しかし、知財と人財の流動性を高めるという目的から考えると、日本国内市場を前提とする企業と、グローバル企業や投資家からM&Aの対象となるような企業では価格設定が異なるべきだと思います。

流動性を前提とした場合、企業も一種の商品です。そして、商品の値決めは経営の重要な役割です。

私たちはどのような目的でどんな会社を創っていきたいのか?そして、自社の企業価値はいくらか。これらの問いは企業経営者にとって極めて重要なものです。

会社や事業についても、日ごろから価格感覚を磨くことがとても重要です。