先週、アバントグループの株主総会を開催した。今回、はじめて二部制にした。一部を事業報告と決議事項の承認を問うための通常総会、二部を事業戦略の中でも特に注力している点についての概説と社外取締役や執行役員による小話という構成にした。
不特定多数の一般株主を対象として説明を行う機会は貴重だ。お客様や社員向けの話となると、ある程度業界動向や事業内容に理解があることを前提にできる。その前提がない人たちに向けた話をするのは、自分たちの狭い世界でしか通じないことがたくさんあることに気づかされる。
社外取締役のいる取締役会も同様である。事業については執行側が熟知している。しかし、いざ、社外の人たちにその内容や状況、執行陣が考えていることを伝えることはかなり難しい。ゆえに、その作業を面倒と感じることも多々ある。
しかし、問題は、相手が事業を理解していないことではなく、伝えられないということにある。そもそも、頭の中にあるイメージというものは厄介だ。自分では具体的な感じがするが、言葉で説明できないことも少なくない。
そんな状態のときは、ビジョンはあるが戦略がない。つまり、やりたいことはあるが、やり方が不明瞭という場合が多い。
暗黙の前提が存在しない人たちとの対話の機会は、戦略を磨く絶好のチャンスである。
ここに、ダイバーシティや投資家との対話や社外取締役の活用の意義がある。何事も、品質を高めるには実践の場数を踏む必要がある。株主総会もその機会の一つとして活用したということが今回の二部制にした背景だった。