企業価値を意識した経営というものを考えていて、なぜ私たち日本人にとってそれが難しいのだろうかと自分の経験を振り返っていた。MBAのような経営者教育が一般化してないこともあるが、欧米の価値観を理解しないと簡単には越えられない、いくつもの「認知」の壁があったことに気が付いた。
個人的にも、人が世の中をどのようにとらえるかというテーマを若いころから追いかけてきた。10代のころの自分がとても独善的で、妄想的に世の中をとらえてしまったことで起こしたいろんな失敗経験がトラウマになっているからだろう。いわゆる中二病のトラウマである。
社会人になっても程度の差はあれ、経営者としての中二病を克服するために超えてきた壁をいくつか挙げてみた。
・資金繰り恐怖の壁
・事業成長と経営を担う人の成長ギャップの壁→多くの成長企業がここで悩んでいる。
・リスク認識への壁
・高収益に対する心理的抵抗感の壁
・成長投資への財務的幻想の壁
・グローバル経済と日本経済の変化ギャップ認識への壁
・会社を商品として経営することへの壁→ここを日本企業経営の課題と感じている。
それぞれ、書きだすと長くなるので別の機会とするが、知識として知っていることと、行動そのものが変わる腹落ちした理解は全く別物である。
私はかなり頑固なほうらしく、人の言うことを聞かないといわれることも少なくない。ゆえに、それなりの心理的痛みを伴う経験を経ないと本当の意味での認知ができないらしい。めんどくさい性格であり、かつ要領もよくない。
しかし、その背景は「本当のところ」を五感を通して理解することに人間成長の楽しさを感じているからのように思う。ようは、人間は自分の好きなことしかできないのである。
若いころ、なにをやっても続かなかった自分が、この「経営」についてはいまだに続けられており、かつ楽しいと感じられるようになったのはひとえに継続できていることにある。おそらく、経営が自分の好きなことと根っこの部分で一致したからなのだろう。
継続は力である。しかし、継続するためには、自分の好きをしっかり見つめることが欠かせない。そんな風に思う。