来年4月から大学で講義をする機会を得た。講座のコンテンツ準備を始め、人生の後輩たちに何を伝えられるかを考えていて、15年前の体験を思い出した。
上場から数年経ち、成長戦略の壁にぶつかり、経営者としての自分の限界を痛感していた頃だ。そんな中、アルプス技研の創業者である松井さんに相談する機会があり、「カッコつけるな」と一喝を受けた。張りぼての自分を自覚し、思わず涙がこぼれた。
その後、「他流試合だ、うちの社外取締役をやってみろ」と、4年ほど松井流の経営を学ぶ機会を得た。その過程で、自分を言語化して掘り下げる「内観」というものを知り、少しずつではあるが、ありのままの自分というものの理解を深めてきた。
リーダーのあり方を人格起点で磨く方法である。 経験を重ねるにつれ、組織の持続成長にとって最も重要なことは、リーダー自身が自分の活かし方をちゃんと理解して組織のために使いこなすために学び続けることだとわかってきた。
このような考えにいたるきっかけが「カッコつけるな」である。それは、単なる言葉ではなく、それを発した人の全人格的パワーをもった言霊であった。まさに、生きたインスピレーションである。
教育とは、単に知識を伝えることではなく、真剣勝負で全人格=ありのままの自分を見せることにある。強烈なインスピレーションを与える人は、時に反面教師として映ることもあるが、そうした人こそが真の指導者であることを実感している。
「教育とは、知識を与えることではなく、生きたインスピレーションを与えることである」とは大叔父の言葉だ。後輩たちが自分自身を発見し、それを活かせるような、生きたインスピレーションを与えることが今後のテーマである。
(と、カッコつけて書いてみた(笑))