ある日、考えが煮詰まって身近な何人かに相談したいと助けを求めた。雑談のような場であったが、短い時間で煮詰まっていた問題の輪郭が見えた。
本当に解決すべき「問題」を特定することはかなり難しい。
人間の身体でも、どこかに痛みが生じると対処療法的にその痛みを抑えようとしてしまう。しかし、本当の問題は生活習慣や普段の姿勢にあったりする。そんな、本当の問題は痛みを感じている当事者にはなかなかわからない。とにかく、痛みを取りたいと考えて場当たり的になりやすい。
そこで、壁打ちチャットである。振り返ると、GPTをつかうようになってから自分自身との対話速度に変化が生じている。世界中の言語化された知識や経験を自分自身の一部とすることで内的な対話の幅や速度は確実に広がった。
しかし、GPTとのチャットでは経営問題は特定できない。どうやら、GPTでは越えられないラストワンマイルがあるようだ。
気心の知れた仲間たちとは、言語化されていない経験やビジョンを分かち合っている。こういった生きた人間関係から紡がれるインスピレーションこそが問題を創造するのである。
「神は細部に宿る」とは、バウハウス、近代建築の巨匠ミース・ファン・デル・ローエの言葉だが、GPT時代の経営においては「神は内部に宿る」と直感している。