THE RUNNING 走ること 経営すること

Running is the activity of moving and managing.

メガネ万歳! 今年印象に残った珠玉の三冊

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ここ数年めっきり読書量が減っていました。老眼の影響です。

私は高校時代の親友に「おまえは目だけが取り柄だな」と言われていたほど視力が良く、電車のホームでは向かいの時刻表を読んだり、夜は人工衛星を見つけたりといったことを普通にしていました。最近特に困っているのは、腕時計が読めなくなったことです。腕を伸ばしても時計盤の日付さえも読み取れないのはさすがにへこみます。

 

なので、眼鏡を使うことにしました。 

ん? 当たり前でしょ。 なぜもっと早くからそうしなかったの?

ごもっともです。しかし、眼鏡というものに全く縁がなく、いまだに遠くはよく見えるので目だけが取り柄だった私にとっては、それを常用するということにかなりの抵抗があったのです。

 

眼科のお医者さんには再三、「老眼は治らないよ、無理せず眼鏡をつかいなさい。」と言われてきました。それでも、常用はしませんでした。なぜなら、どこかで少しはよくなるだろうという期待があったからです。そんなことをやっているうちに、本を読むのがしんどくなり、結果的に読書量が圧倒的に減ってしまいました。そんなことを経て、とうとう眼鏡の常用を始めました。本がまた読めるようになりました。やっぱり活字はいい。メガネ万歳!

 

今年いくつか印象に残る本がありますので、私にとっての今年のトップスリーをご紹介します。

 

「なぜ人と組織は変われないのか」 ロバート・キーガン(著)

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エゴンゼンダー http://www.egonzehnder.com/jp/ の社長、佃秀昭さんからいただきました。社長業も長くやっているとどれほど気をつけていても独りよがりなスタイルになってしまいます。なにかガツンとやってもらえるような機会はないかと弊社社外役員のジョルジュ・ウジューさんhttp://georgesugeux.com/ からのご紹介でお会いしたことがきっかけです。

 

これまで独自の方法で内観的に自分に内在するデザイアの理解を追求してきましたが、その方法を具体的にほかの人に説明することができませんでした。ここで紹介されている方法をつかうことで比較的簡単にその価値を共有できると感じた本です。

事例も多く紹介されています。日本人的には少し掘り下げ方が甘いようにも感じますが、掘り下げ方を迷うときに参照するとヒントにはなります。

 

本書の真骨頂は「人間の知性は死ぬまで成長させることができる」と断言しているところです。それを、30年にわたる調査結果として証明し、大人の知性として三段階に定義しているところです。大人の知性として語られていることの最高レベルは東洋的には「自他一如」のようにそれほど特別なものとは感じませんが、自分の価値観を確立する第二段階を経た上で第三段階に移行できるとしている点は「なるほど」と思いました。

 

自己変容型に到る成長を、生涯を通して追求できるということは、人間は生き続ける限り成長するというテーマに勇気を与えてもらえる一冊です。

 

 

「GO WILD 野生の体を取り戻せ!」 ジョンJ・レイティ(著)、リチャード・マニング(著)

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「脳を鍛えるには運動しかない」のジョンJ・レイティの最新刊です。昨年末に出ていた本ですが、ハセツネというトレイルレースでの完走を目指していろいろと試行錯誤をしている際にヒントを求めて読んだ本です。トレランの意義を様々な角度から説いているものです。走っていれば自然とわかることですが、それを左脳から強化したい方には至極の一冊になると思います。

 

私にとって一番役立ったのは著者自身が長距離ランでかならず低血糖状態になって失速するという現象を、ラン中に使用するエネルギーを炭水化物中心ではなく、脂肪中心に転換することで克服したという点でした。そこからヒントを得、食事を見直し脂肪燃焼モードへ身体を作り替えることができました。これまでの常識だったレース前にカーボンローディングという炭水化物をたっぷりとっておくということをやめ、普段も生活に支障が出ない範囲で炭水化物を抑えることで、長距離レースで低血糖症にならないようになりました。この発見は身体面における今年最大の発見でした。

 

そもそも自分の身体の使い方がまったくわかっていないぞ。そんなことを強く感じました。ハセツネ完走を支えた一冊です。

  

「帳簿の世界史」 ジェイコブ・ソール(著)

 

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オフィスのビル内にあるくまざわ書店で見つけて即買いしました。連結会計、内部統制、IFRSなど会計に関係する制度変更の影響を強くうけて事業を行っていることも在り、歴史として会計や帳簿を理解することには単なる興味以上のものがあります。

 

歴史ですので、新たな発見があるということではないのですが、歴史としてクロニカルに、かつ帳簿という歴史の裏方から見つめ直している本はこれまでありませんでした。宇宙ものとしては、古くはカール・セーガンのコスモス、最近ではサイモン・シンのビックバン宇宙論のように歴史として科学を語る本があり、こちらも個人的には超おすすめですが、その会計版のような存在です。

 

余談ですが、中学生の頃に見たカール・セーガンの「コスモス」はビデオで録画し、バイブルのように何度も見直し、今でも脳の栄養補給にDVDやYou Tubeで眺めることがあるほど特別な存在です。

 

帳簿の世界史、あの会計史における超有名人、ルカ・パチョーリが目指した会計を広めて社会をよくしようという志。まさに、ディーバが目指す世界です。しかし、当時のみならず、現代に到るまで会計の透明化が歴史的に困難だったとうことは重たい事実として受け止めました。

 

それでも、会社は透明性を向上することで強くなると信じて今までやってきて、これからもそれを追求しようとしている私を勇気づけたのは最後の一文でした。

 

「本書でたどってきた数々の例から何か学べることがあるとすれば、会計が文化の中に組み込まれていた社会は繁栄する、ということである。」です。歴史に学び、理想の実現がどれほど困難かをしっかり理解した上で確実に実現する方法を考える。そういう学びを得られる一冊です。アバントグループメンバーのみなさん、必読書ですよ!

 

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