THE RUNNING 走ること 経営すること

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メガネ万歳2016! 今年もっともインパクトのあった一冊

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印象に残る本ってなんだ?

今年もメガネのおかげで沢山の活字に触れることができました。そこで今年も印象に残った本をご紹介しようとふり返ってみたのですが、今年は一冊の本の影響を強烈に受けていたことがわかりました。

書籍や新聞雑誌、インターネットからの文書情報を対象に、その情報に触れたことで思考をぐるぐるさせたかそうでなかったかを縦軸とし、日常の行動に影響を与えたかどうかを横軸にして、触れた情報量をおおざっぱにプロットしてみたところ次のようなグラフができました。

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人間は普通に生きていくだけでもたくさんの情報にふれて常に判断を繰り返しているので新聞やニュース関連のWebのように毎日ふれいているものを中央においてみました。dの円がそれに当たります。一番身近な情報グループですので円の大きさが示す情報量も最大です。社会的に大きな事件や事象が発生してそれが自分にとっても重要でかつ緊急なことであれば新鮮な情報を欲しますのでdはより大きくなります。また、その他の活動に対する余裕がなくなると他のグループは小さくなりばらつきも中央によってくるでしょう。

そんなきわめて主観的かつ相対的な視点でざっくり分けてみました。cはビジネス関連でよく売れている書籍や雑誌が該当しています。bになると世の中で売れているかどうかは関係なくなります。問題意識を掘り下げていく上で読んだ本が中心です。cとbについてはある程度自分の意思や興味がはじめに有り、意図的に読んだ本ばかりです。

偶然の出逢い

今回aに該当する一冊は人から進められて読んだ本でした。精神科医で当社の産業医でもある松崎一葉さんからのススメでした。世の中人も会社も健康ブームといっていいような時代ですが、当社も組織としての健康をしっかり築いていこうと様々な取り組みを始めています。その取り組みに松崎さんからもご指導をいただいています。その中で試験的に実施した心理分析テストに私自身も参加したときのことです。結果のフィードバックでこの本を読むといいと勧められたことがきっかけでした。

読みやすい本で、一度読み始めるとノンストップで読み切ったのですが読後しばらく軽い鬱になりました。最初は文章に書かれていた事象を心の中でイメージに変換しその想像した映像になんとも言えないやるせなさを感じていた程度だったのですが、数日経つと「この感情はなんだろう」と内省せずにはいられないような感覚に陥っていきました。

そして二週間ほどの軽い鬱状態が続いたあと、次第に夜霧が晴れるように心が軽くなっていきました。その二週間は「人生に意味はない」ということがなんとなく腹落ちするまでにかかった時間でした。

人生の意味は自らつくるもの

「人生に意味はない」というとネガティブに聞こえるかもしれませんが、人生の意味は最初から存在しているのではなく、自分でつくるものだという前向きなものです。

宇宙や自然そのものには本来意味など存在していなかった。そこに意味を持たせたのは人間である。しかし「意味」というものを自ら産み出したことを人間は次第に忘れてしまった。だから、意味を探してしまうのだ。人生にはそもそも意味など存在していない、だからそこ自らその意味を創るのだ。そんな風に勝手解釈して受け入れました。

わかったように書いていますがなんとなくそんな感じという程度です。それでも、インパクトは大きいと感じています。むしろこれから効いてくるのかもしれません。

自然をありのままに見ていくと、人間から見て残酷な世界が広がっています。そんな現実と人間社会のギャップや、自分自身の理想と現実のギャップに無自覚の強いストレスを感じていると松崎さんに看破されたようです。

言葉でのフィードバックはほとんどありませんでした。処方箋としての本を一冊薦められただけといっていいのですが、その処方箋の効き方はテキメンでした。最高の名医です。 

V・E・フランクルという精神科医の書いた本

さて、その本ですが、Viktor Emil Franklの「夜と霧」です。初版は1947年です。ユダヤ人精神科医が収容所での体験を記したものです。究極の体験を書いたものからは強い刺激を受ける場合が多いですね。モーリス・エルゾーグの「処女峰アンナプルナ」という登山体験記も昔読んで読後しばらく軽い鬱になった本の一つです。

いずれも当事者が書いた実体験です。フィクションとは一線を画すなにかがあります。アンナプルナは登山家が書いていますが、夜と霧を書いたのは精神科医です。冷徹に人間というものを見つめています。

 今年も印象に残った三冊+一冊を手元に持ってきて書き始めたのですが、フランクルが突出しすぎていたようです。今年は、「夜と霧」この一冊とすることにします。

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