先日、スタートアップやインキュベーターが集まるイベントに顔を出してきました。すでにIPOを果たしている企業経営者が講師となって、沢山の起業家と自分の経験や考え方を共有するような場です。
当初一つだった会場が、途中から部屋を分割してCEOセッションとCFOセッションに分かれました。私は講師ではなかったので興味があったCFOセッションに参加しました。
錚々たるベンチャー企業のCFOの方々がパネリストでしたが、隣のCEOセッションと比べて参加者が圧倒的に少ないことに「まぁそうだろう」と納得しつつも、思わず「もったいないなぁ」と呟いてしまいました。
起業において(プロジェクトも同様です)絵に描いた餅を食べられるようにする最重要要素はチーム(=実行力)つくりです。そのチームつくりの点において一般的な聴講の場であると、現在CEOの方々が他のCEOの話を聞いたとしても背中を押されはすれども飛躍はないでしょう。そもそもCEOをやっている時点で同じ人種です。一方で、成功した企業のCFOの話を聞けば、どの様な人と仕事をすれば良いか、ヒントを得られます。そんな思いからの「もったいない」でした。
それはさておき、肝心のセッションですが。CFOの役割についてディスカッションする中でCFOの方々が異口同音に話されていたのは、「ベンチャーのCEOの話って、何言っているかわからない、でもやたらと熱い!そして、何年たっても、同じ事を言ってるんですよぉ」ということでした。思わず自省して苦笑い。
本人は懸命にわかりやすい説明を心がけているつもりでも、言いたい事がてんこ盛りで言語がついて行かず、手足が動き始めて気がつくと周囲が???な状況になるのは数えきれず、説明下手の自分に自己嫌悪しつつ悶々とする日々は日常の風景です。
CFOの方々の話はこう続きます。「その何言っているのかわからないものを翻訳して可視化するのもCFOの重要な役割なんです。特にベンチャーの場合は」。
正鵠を射るコメントに心の中で「よっ、播磨屋!」状態です。CFOに限りませんが、確かに自分が言いたい事を他のメンバーが翻訳して話しが出来るようになると急激に戦略の実行力が高まるという現象はこれまでも幾度となく経験して来ました。
特にCFOという立場、つまり財務的視点で戦略の妥当性を検証し、その実行を補助する役割は、一種のインタープリターと言えます。しかも、構想や思いを戦略に「意訳」できるCFOの存在はチームの成果に大きな影響を与えます。
海外に行って片言の言語で会話するより、一流の通訳の力を借りて会話するほうが圧倒的に仕事の品質があがるように、なにを言っているかわからないとよく人から言われる覚えのある人は、CEOとしての研鑽もさることながら、そんなCFOとの出会いに力を入れた方が事業の成功確率は上がるでしょう。
いやぁ、CFOの存在って本当に超重要です。