THE RUNNING 走ること 経営すること

Running is the activity of moving and managing.

たまにはブログでも更新してみるか

f:id:runavant:20230409102111j:image

 

哲学の道と言えば京都、西田幾多郎のそれが有名ですね。人それぞれ、お気に入りの道があるのかな。

 

私の場合は坂道、軽井沢野鳥の森から白糸ハイランドウェイまでの緩い上り坂はお気に入りの坂道の一つです。左に流れる川伝いの林道。やっぱり水の流れがあるといいですね。

 

昨日は、どこで人間は暴走なり怠惰なりとバランスを崩すのだろう、そんなことを考えていました。

 

縄文アソシエイツの創業者、古田さんのお誘いで古典を学ぶ機会に参加していた縁で埼玉県の嵐山町にある安岡正篤記念館に立ち寄り、敗戦に際して日本農士学校の教え子に宛てた手紙にあった「内においては道義の頽廃」が心に残っていたからです。

 

春になり新緑芽吹く自然に触れると、リアリティの喪失?そんな感じがしてきました。

 

 

 

最終回

f:id:runavant:20201129093324j:plain

2015年12月から始めたブログ「走ること経営すること」は今回の143話でゴール、最終回です。

 

5年前、「社会としての会社」というタイトルで書き下ろしたものを本にするか悩んでいた頃、編集者の方からの「出版の前に、好きなテーマでブログでも書いてみたら」というアドバイスから始まったのがこの「走ること経営すること」です。当時、「ブログを始めるよ」と周囲に話すと、「5年は続けてください」と言われ、ランニング同様、長距離レースに参加するような気持ちで5年をゴールとしたブログを始めました。

 

趣味の写真も使いたかったので、撮影を含め一本を書くサイクルとして隔週は丁度よかったように思います。なかなか書き上がらずに悶々とした事も少なくありませんでした。いや、そういう時の方が多かったかな。それでも、この隔週ルーティンは「文章をちゃんと書く」という事の愉しさを教えてくれました。時間の余裕があればもっといろいろ書いてみたいと思っています。ランニング同様、続ける事で愉しさが増すアクティビティの一つとなりました。

 

好きなテーマと言うことで、ブログのタイトルを「走ること経営すること」としましたが、趣味と仕事を一緒にしてしまったことで、日記のように自分を読者とした趣が強く出たように思います。それゆえ、書き進めるにつれ、もう少し読み手を意識して書いてみたいという欲も出てきました。そんな事もあり、ランニング同様、ブログも新たなレースに挑戦するために予定通り5年でいったん終了です。

 

いやいや、それにしても5年のロングレース、無事完走できてよかった、よかった。

ブログ「走ること経営すること」にお付き合い頂いた皆様に心から感謝いたします。

人をつくるためのグループ経営

f:id:runavant:20201115143522j:plain

・増える純粋持株会社

日本では、純粋持株会社に転換する会社が増えています。ファイナンスを活かして企業価値を高めるには、純粋持株会社は使いやすい経営モデルです。しかし、この純粋持株会社というモデルはファイナンスの本場、米国では殆ど見られません。投資家にとっては、ポートフォリオは自分たちで組むので、投資対象は事業がシンプルであるほうが望ましいと言う考えを投影しています。私自身、投資家ではありませんが、本来的にはシンプルなモデルが好きです。おそらく、日本で純粋持株会社が増加する要因は、ファイナンス以外の様々な理由が背景にあるのでしょう。

 

・ファウンダーのいる会社の後継者問題

私が純粋持株会社の経営モデルを使おうと決めたきっかけは、十年近く前のファウンダーがいる会社での社外取締役体験です。そのファウンダーは経営者として尊敬する方です。経営の第一線から離れても誰よりも会社のことを熟知、熟慮されておられました。それだけに内部からの抜擢は簡単ではありません。経営者を外部から招聘する事が常態化していました。

 数年の紆余曲折を経て、私は社内の生え抜きの方から次期社長を選ぶことを強く提案しました。外部からの可能性も十分にありましたが、現在の事業に伸びしろがある企業はファウンダーから長年にわたり薫陶(コーチング)を受けてきた人が経営を担う方が、事業も社員もハッピーになると思い至ったからです。今では、唯一社外取締役として役に立った事だと考えています。

 

・人の育成環境としての純粋持株会社モデル

この時の体験は強烈でした。まるで未来の自分を見ているように感じました。そこで、ファウンダーが現役の時から新たな経営者を育成する仕組みとして、監督(コーチ)と執行を分離しやすい純粋持株会社というガバナンスモデルを活かしてみようと考えました。ファイナンス視点ではなく、実業の源である人視点からの問題意識が発端という事です。

 

・一つの事業会社としての純粋持株会社グループというあり方

現在の当社の事業は本質的には単一です。しかし、継続的な成長を実現するには、連続的な経営者の育成が欠かせません。一つの事業でありながら、多様な経営者が育ち、そこから生まれる新たなベンチャー・スピリットによってメンバーが活き活きと発展する会社、これが私たちが実現しようとしているグループ経営です。

試行錯誤の途中ですが、少なからずその有効性を感じ始めています。人をつくるためのグループ経営を実現したいと考えています。

インテリジェンスの先にあるもの、ビジネス・エンターテイメント

f:id:runavant:20201101093933j:plain

先日、統合報告書の企画検討において、「経営情報の大衆化」という当グループの企業ミッションが生まれた背景について、周囲のヒーローが王・長嶋だった子供の頃、私のヒーローが盛田昭夫さんだった話からインターネット前々夜だった学生時代のネット体験など随分と個人を掘り下げたところまで話しをしました。(させられた、という方が正しい)

 

「あぁ、掘ってしまった。」少し心が重くなります。

 

当事者にとっては、日々を精一杯に生きているのでこういった客観的かつ長い時間軸で自分の行動を振り返ることはなかなか出来ません。むしろ掘り下げすぎると、過去への反省や当時のトラウマが強くなり、一種の自傷行為になり心を痛めます。そんな経験もあり、今では「今」に集中するようになりました。とは言え、今の行動を形成するものは、過去の積み重ね以外の何者でもありません。心身に染みついているものでも整理は必要です。

 

そこで、この「経営情報の大衆化」というテーマが、経営に苦悩する技術者上がりの父の姿を見ながら、情報技術をつかって経営という仕事をもっと面白くしたい。これが根っこである。そんな風に原点を整理してもらいました。当グループはビジネス・インテリジェンスという経営に必要な情報環境を提供するサービスを提供しているのですが、その目的は経営を愉しくすること。つまり、情報技術であるインテリジェンスは手段であり、目的は人をハッピーにするエンターテイメントと言うことです。

 

さて、かくいう自分自身、経営の当事者となってその目的は達成できているのか?と問われれば、Noです。愉しさというものは、捉え方であるので如何様にもなるとは言え、それは人生の達人の話。私自身は、その領域に至るどころか、まだまだ苦行の域を超えていません。なぜだろう?そこに、目的であるエンターテイメント力の弱さがあります。

 

企業は業績で評価されます。それは事実です。ゆえに、経営の目的を人に置いていても、厳しい経営環境を生き抜く過程で業績が経営の目的になりやすいものです。しかし、それで経営が愉しくなるかと言えばそうではありません。実際、業績が良くても達成感を感じられない事やフラストレーションが募る事ばかりでした。その原因の一つがメンバーの活力と業績のアンバランスです。新たなチャレンジや、お互いを支え合ってそれを達成する体験など、事業活動にメンバーの活力を引き出すチャンスは山ほどあります。しかし、それを生かし切れていません。そんな背景もあり、現在の当グループの中期計画はメンバーの活性化を第一に組み立てています。大きなチャレンジの目的は、あくまでメンバーの活力を引き出す事を目的としています。

 

様々な機会をメンバーの活きる場とするために、インテリジェンスの先にあるエンターテイメントの視座をもって経営を愉しくしていこうと思います。

会社の人間性に触れられる経営情報

f:id:runavant:20201018153530j:plain

社内報アワードの受賞

先日、ウィズワークス社が主催している社内報アワード2020のWeb/アプリ社内報部門でディーバ社の作品がゴールド・シルバーとダブル受賞しました。複数の作品が受賞したゴールド賞は、オンライン授賞式で最優秀賞が発表されるとの事で、制作メンバーと一緒にその発表を視聴しました。最優秀賞は他社に譲りましたが、社内報によって組織の活性化を図ろうと自発的な活動から生まれたコンテンツが高い評価を得たのは、思わず膝をたたくほどうれしいものでした。

 

組織の人間性

ところで、今回のオンライン授賞式のように他社の社内報を目にする機会はあまりありません。それだけに、高い評価を受けた他社の社内報も興味深く見ていました。会社の歴史や、社長の人間としての姿を伝えるものがあれば、地域の未来や自分たちの働き方など、ESGに関するものもあります。面白いことに、社内報といっても社外向けの統合報告書に織り込まれるテーマと変わりがありません。ただ、なにか違います。社内報という性格からか、人の個性というか、人間性のようなものも伝わってくるのです。

 

濾過しすぎた情報

社内報は会社というコミュニティのための内向きの情報です。一方の統合報告書は、なんらかの関心や関わりがある多様な人が会社を知るための情報です。本質的には内外全方位の情報ですが、外向きの情報です。そこに違いがあります。

外向けの情報は気を遣うことが多いでしょう。そのために、情報を濾過しすぎて本来の人間性を捨てているのかもしれません。個人は、FacebookやTwitter、Instagramなどにより多くの人たちの活き活きとした姿に触れることが出来るようになりました。一方の会社は、人間の集団であるにも関わらず、外部から組織の持つ人間性に触れることは困難です。

 

活きた経営情報とするために

ながらく開示情報の中心は会計やファイナンスの情報にありましたが、社会環境の変化により社会との関連が強い非財務と呼ばれる経営理念やESGといった情報の重みが増しています。しかし、様々な統合報告書を眺めていて、なにか足らないと感じていました。今回、この社内報アワードで各社の魅力あるコンテンツを目の当たりにして、組織としての人間性に触れられる情報がその不足感を補うと感じました。どこまでいっても企業活動は人の活動の集合という事です。

 

さて、当社も裃を脱ぎますか。

どこでも通用する人が育つ会社へ

f:id:runavant:20201004123646j:plain
回復する経済活動と変化する働き方

10月になり、通勤など人の動きが活発になって来ました。経済はヒト・モノ・カネ・サービスといったものが循環して成り立っています。それらを回すのが人の活動ですので、フェーズが変わったと感じています。一方、一気に広がったリモートワークにより以前とは異なる形を模索している仕事も少なくないでしょう。

 

ポータビリティの無い経営者

話は変わりますが、だいぶ昔、少し経営に自信を持ち始めた頃、十数年前の話です。知り合いのヘッドハンターに、「経営のプロとしてどこか雇ってもらえるところはあるかなぁ」と軽口をたたいたところ、「どこもないよ」と即座に切り捨てられました。「経営者ってのは、案外ポータビリティは低い。ましてや創業経営者なんて売れません」と言うのです。

 

他流試合の意義

現場たたき上げの経営職人を志向してやってきたつもりだっただけに、商品価値の無い現実にショックを受けました。よし、勉強し直しだ!と意気込んでみたところで転職や学校に行き直すという訳にも行きません。そこで挑戦したのが「他流試合」です。他社の経営に参加する事で、経営者としての力を養おうというものです。社外役員、M&Aなど、すでに他の経営者の色がついた環境でも、経営者として役立つようになろうと十年以上試行錯誤が続いています。しかし、そこから得られた経験は座学や独学では決して得られないものでした。

 

他でも通用する人を育てられる会社

経営も専門職の一つ。そう考えると、事業というものは、多様なスペシャリストによって成り立っていることがわかります。長期にわたり同じ組織の中にいると、自分が何のスペシャリストかを明確に意識して研鑽する事は簡単ではないでしょう。しかし、変化する働き方の先には従来以上にスペシャリティが重要になります。

 

そのためにも、他流試合のように、自分が何屋であるのかを問い、それが他でも通用するかを確認する場が必要です。もはや個人だけで解決するテーマではありません。むしろ自社のメンバーをいかに他でも通用する人材に出来るかを考え、そのための環境つくりが出来る会社となることが今後ますます重要になるでしょう。

 

自他の垣根を越えた、人の成長環境をつくりたいと考えています。

創造的対話のための経営情報

f:id:runavant:20200920140152j:plain

安倍政権のレガシー、コーポレートガバナンス改革

アベノミクスと呼ばれた経済政策を8年弱に渡り牽引した政権が終わりました。新たな政権はアベノミクスの継承を全面に押し出しています。ゆえに、これまでと変わらないだろう安心感のもと粛々と政権交代が進みました。しかし、長期政権のリーダーが変わることは一大事です。好き嫌いは別として、少なからず安倍さんロスを感じます。さて、そんな安倍政権のレガシーですが、コーポレートガバナンス改革もその一つでしょう。

 

経営者の学習環境を整えるための改革

成長するグローバル経済の中で相対的に地盤沈下した日本経済を立て直すために、企業の稼ぐ力を高めよう。そのためには企業経営者が、自ら投資家や社外取締役と建設的に対話する環境が重要だ。なぜなら、企業価値の向上にはファイナンスの視点が欠かせないし、自社の状況を正しく理解するために外部の視点を活かす必要がある。ようは、経営者が企業価値を高めるために効果的な成長・学習環境を整える事で、稼ぐ力を高めよう。そういった文脈で私はこの改革を理解しています。

 

投資家との対話だけが不足している訳では無い

私自身、外部との対話を通して学んだことは、価値創造につながる「多様な対話」の重要性です。投資家や社外取締役だけではなく、顧客、社内マネジメントやメンバー、業界を超えた経営者、専門家など様々です。グループ経営の場合は、グループ会社のマネジメントとの対話も重要です。

対話そのものは、企業経営者であればだれでも重視しているでしょう。しかし、その多様性は自覚以上に案外偏っているものです。そこに新たな視座をもたらすという点では、少々効率と品質に難はありましたが、コーポレートガバナンス改革の視座には一定の価値があり、なにより「創造的対話」というものの価値を再発見する機会となりました。

 

創造的な対話を促すための経営情報

さて、この創造的対話ですが、私の中でより重要性が高まったのは対話のための経営情報です。結果を知るためのレポーティングやオペレーションのためのモニタリング情報ではありません。未来を創造するための情報です。単なる事業計画ではありません。また、多様な対話という視点からも画一的なものでもありません。さて、どうやって創造的対話のための情報環境を整えようか?そんな問題意識をもって当社でも統合報告書の作成に取り組むことにしました。さて、多様なステークホルダーとの創造的対話に役立つ経営情報と出来るか。それこそ創造的に取り組んでいこうと思います。