THE RUNNING 走ること 経営すること

Running is the activity of moving and managing.

人が走っているのを見るのも案外悪くない

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セントラルパークを朝ラン中に、New York Mini 10k Women's Raceに出くわした。

約一万人の参加者がウェーブスタート(一定の集団毎に時間差でスタートする方法)でひっきりなしに出走していたが、いくつかのウェーブがスタートした後も、参加者が歩道を歩いていたりと、かなりのんびりしたシティマラソンである。

いろんな領域でジェンダーレスが進んでいるが、これはこれでありなんじゃないかなぁ、と素朴に思った。

トレイルランやマラソンのトレーニングで、「修行だ」などと言い聞かせて走っている自分が、なにやら滑稽に見えてくる。

個人的にはそれも楽しいのではあるが、日々のコンディションに悪影響を与えることも少なくない。

自分のランを振り返るにためにも、人が走っているのを見るのも、案外悪くない。

AI時代であっても「百聞は一見に如かず」

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出資先である米国ニュージャージーのベンチャーキャピタルの集まりに参加している。AIに関連するビジネスの未来に対して強気な発言が多い一方で、その基礎をなすデータの信頼性について議論が集中した場面があった。

私たちが普段から触れている情報も、何が真実であるか判断することが難しい。むしろ、意図を持った情報操作はいつの世でも行われている。大量にデータが生み出されている現在、その担い手としてAIの存在感が大きくなっている。

トランプ前大統領の有罪判決の翌日、ハドソン川の上を「トランプ大統領は何も間違っていない」という横断幕を引いた飛行機が飛んでいた。遠くてわかりにくいが、写真はその時のもの。

スーパーで売っているプライベートブランドの約1リッターのオレンジジュースが7.59ドル。日本円に換算すると約1200円、これはリアルである。

どのような選択をするかは個人の価値観次第である。そのための判断力は、五感で違和感や納得感を感じられるリアルな体験を通してしか高められない。そんな気がする。「百聞は一見に如かず」である。

「窮すれば変じ、変ずれば通ず」の27年

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今日はアバントグループの創立記念日。満27歳である。

先日、友人より「窮すれば即ち変ず、変ずれば即ち通ず」という中国のことわざを教えてもらった。言い得て妙な言葉である。

窮にもいろいろあるが、一度窮した状況が改善されると、変化に鈍感になりやすい。そして変化を見過ごすと、いずれまた窮する。そんなことを何度も経験してきた。

変ずれば通ずの前に、窮して変化することにかなりのエネルギーを使ってしまい、変化対応疲れを起こすからだ。

そうならないようにするカギは、変化に対するスタンスを受け身から主体的にすることである。常に、何かを新しくしていく。

しかし、これが難しい。常に、心の中になんらかの「窮」を飼っていなければならないからだ。

変ずれば通ずを日常とするためにも、スティーブ・ジョブスの言葉「Stay hungry, stay foolish」、松下幸之助の「日に新た」などにも通じる、健全な「窮」を育てていきたい。

「信用第一」だからこその「赤字は悪」

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定期的にグループメンバー向けにメッセージを発信している。

そのフィードバックの中に、「利潤と道徳の調和を重要と言うが、『赤字は悪』というスローガンと結びつけると道徳がおろそかになりそうだが、そうならないように心がけていることはなにか」というものがあった。

当社には、経営判断の優先順位を定めた「五つの鉄則」というものがある。リーマンショックのころ、事業継続のための厳しい判断を迫られる中、決して曲げてはならない優先順位を言語化した。追いつめられると一線を越えないとも限らない。そうならないための判断基準である。信用第一、赤字は悪、仕組みを作る、成長を加速する、一芸を究めるという順番である。

利益を追求するまえに、信用を優先する。成長を追求するまえに、それを支える仕組みをつくる。そして、これらがそろって初めて、ビジョンの実現にまい進できる。創業経営者がハマりやすい、自分のやりたいことを優先して事業をおかしくするということへの戒めでもある。

特に重要なのが最初の二つ。信用第一、そして赤字は悪である。事業とは信用の上になりたっているものであるという当然のことを言っている。赤字であることは、そもそも信用において問題があるからこそ悪であるということである。

『赤字は悪』という言葉はインパクトが強いのだろう。しかし、その前に『信用第一』があることこそが、赤字は悪の意味を正しくする。

小諸で発見したBE GLOBAL

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ソラリスというワインをつくっている小諸にあるワイナリーに行ってきた。白が飲みたくなるとこのソラリスを飲むことが増えていたが、なんの予備知識もなく訪ねた。

そこで、昨年2023年に国際コンクールで世界一の評価を得たワインがあることを知った。10年ほど前まではどこかさっぱりしすぎる感覚があり、国産はむつかしいのだろうと思っていたが、知らぬ間に世界一を生み出していた。

西畑さんという若手の醸造責任者がこの快挙をけん引したという。フランスでの修行経験を踏まえつつ、小諸の土壌とぶどうのポテンシャルを最大に引き出すための栽培力を養い、すばらしいワインを生み出すに至ったそうだ。

海外のブドウ畑とはだいぶ趣の異なる小諸だが、ひたむきな、いい意味での野心と知恵と工夫によって、世界に通用する作品を生み出していることには感動しかない。

受賞したワインは完売だったが、ほかにも面白そうなものがあったので買って帰った。

半年近く酒を飲んでいなかったが、そろそろ飲みごろだな。笑

退屈と不安は一周回って同じことかも

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船旅に出る両親を埠頭まで見送ってきた。

巨大な船を眺めながら、自分はこういった旅は苦手だと感じた。

『暇と退屈の倫理学』(國分功一郎)を読んだところだった。「退屈」という感情を哲学するものだ。哲学とは「問題を発見し、それに対応するための概念を作り出す営み」と序文にある。

普段放置してしまいがちな心にささる棘のようなものを「問題」として特定し、心が安定するためにその正体を明らかにするということだろう。

なにかに「没頭する」ことが心の安定に欠かせないと考えてきた自分にとって、それ自体に問題意識を促すよい刺激になった。

併せて、『疲労とはなにか』(近藤一博)も読んだ。こちらは、疲労や疲労感というものの原因を「ウィルス」から紐解くというもの。人類でホモ・サピエンスだけが生き残ったことに、「不安」を強くするウィルス起因の遺伝子も強くかかわっているのではという話まで広がる。

哲学と科学という異なる分野であるが、両者はつながっているように思えた。私にとって、哲学で取り上げられている退屈という感覚は、行動に大きな影響を与える不安という情動の延長線上にあるからだ。

さまざまな不安から逃れるために、自分を駆り立てる環境をつくり、その環境で生き抜くために身体にもストレスをかける。没頭のあまり、本当の疲労を蓄積してしまうことも少なくない。GWのような休みはこの疲労が露出することも少なくない。

健全な没頭が自らを健康にするという本当の「自靖自献」に至るまでにはまだまだ時間がかかりそうだ。

こころの洗濯日和

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GWである。初日は軽井沢トレイルランニングレースに参加した。ゆっくりと4時間かけて1200md+,20kmを走った。

軽井沢プリンスのスキー場ゲレンデ頂上から狭い登山道でいったん碓氷峠めがね橋まで降りた後、昔の中山道を登りスタート地点まで戻ってくるコースである。古道にはあちこちに旧跡があり、楽しい。この道を通った先人を思い、心が洗われる。

レース後は、身体の回復である。なんとなく休まるコンテンツを選んでいたところ「限界集落住んでみた」というNHKの番組が目に留まった。老人中心の小さな地域に若者が一月滞在するドキュメントである。

よかった。

感想を書くことすら無粋と感じる。こちらも、こころが洗われた。

今年のGWはこころを洗濯して過ごすことにしよう。