THE RUNNING 走ること 経営すること

Running is the activity of moving and managing.

社会構造の違いを理解して経営力を磨くということ

f:id:runavant:20240616140546j:image

経済産業省の「製造業を巡る現状と課題、今後の方向性」を読んだ。企業経営に役立つ情報サービスを提供する本業にかかわる話も多く、読みごたえがあった。

https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/seizo_sangyo/pdf/016_04_00.pdf

経営力への指摘は製造業に限った課題ではない。限られた事業資産を成長分野に最適配置することの難しさは自分にも当てはまる課題だ。

経営力というと非常に広い概念になるが、2023年3月の東証要請以来、注目度が上がっているPBR(Price Book-value Ratio、 時価総額を純資産で割ったもの)が問題になる企業においては、企業価値を高めるために、「どこにはるか(立地)、だれにはるか(人事)、いくらはるか(投資)」の最適化を続けられるかどうかが問われる。

事業会社の経営は、自ら稼ぐ点と、エグジットという名の店じまいがない点では投資家と異なるが、経営資源のアセット・マネジメントという視点では、同様のファイナンス思考が必要とされる。

しかし、日米を比較すると、社会構造的に投資家視点を養う教育環境や、自国の資本によるプライベートエクイティやベンチャーキャピタルの影響力という基礎的な点で大きな差があると感じている。この違いを理解して経営力を磨かないと、リスクが高まる。

社会構造は歴史の蓄積の上にある。今回の写真は以前立ち寄ったプリンストン大学のものだが、立ち並ぶ歴史的建造物は見えない知財の蓄積も物語っている。教育問題の解決は簡単ではない。

しかし、すでに日本の製造業の多くはグローバル展開をしている。製造業トップ500社では、従業員の6割が海外拠点だそうだ。つまり、企業が日本の社会構造問題から脱却する素地はすでに整っている。

社会的な環境整備には時間がかかるが、企業経営力の向上は待ったなしだ。したがって、自らが変わるしかない。ヒントになるのは、すでにファイナンス思考的経営を実践している企業のマネジメントチームのあり方なのかもしれない。